ゴッドファーザーPARTIII:偉大なるシリーズの「黒歴史」?失敗作と批判された理由、そして再評価の動きを徹底解説
映画史にその名を刻む名作シリーズでありながら、公開当時は「なんでこうなった…?」とファンをガッカリさせた続編は数多く存在します。期待が大きかった分、その落差も大きいもの。今回は、ファンの間で“黒歴史”扱いされがちな失敗続編をピックアップしてご紹介する企画の第4回。
今回取り上げるのは、映画の金字塔として称賛される『ゴッドファーザー』シリーズの最終章、『ゴッドファーザーPARTIII』です。
伝説的シリーズの最終章:『ゴッドファーザーPARTIII』とは?
1972年の第一作、1974年の第二作がともにアカデミー賞作品賞を受賞し、映画史に燦然と輝く名作として語り継がれてきた『ゴッドファーザー』シリーズ。
その三作目にあたる『ゴッドファーザーPARTIII』(1990)は、コルレオーネ・ファミリーのドン、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)が組織の事業を合法化し、血と暴力に彩られた裏社会からの決別を図る姿が描かれます。老いたマイケルが家族の名誉と魂の救済を求め、犯罪組織からの引退と事業の合法化を目指す物語であり、シリーズの中でも特に贖罪と家族の絆が中心に描かれている点が特徴です。
なぜ賛否が分かれたのか?ファンが指摘する「失敗」の理由
『ゴッドファーザーPARTIII』は、公開当時アカデミー賞に8部門でノミネートされるなど一定の評価を受けたものの、前2作と比べて賛否の分かれる作品となりました。
その主な要因として、以下の2点が大きく問題視されました。
まず一つ目は、キャスティングです。
マイケルの娘メアリー役に起用されたのは、監督フランシス・F・コッポラの実娘ソフィア・コッポラ。当初予定されていたウィノナ・ライダーが降板し、急遽代役となった彼女の演技経験の乏しさは、多くの批評家やファンから厳しい批判を浴びてしまいました。
二つ目は、脚本に十分な時間が与えられなかったことです。
フランシス監督と原作者のマリオ・プーゾは、本来6か月の準備期間を希望していましたが、スタジオの都合上、わずか6週間で仕上げざるを得なかったとされています。この準備期間の不足が、作品の完成度に影響を与えた可能性は否定できません。
それでも光る魅力!PARTIIIが持つ独自のテーマと感動
しかし、こうした批判点がある一方で、『ゴッドファーザーPARTIII』には他の2作にはない独自の魅力も確かに存在します。
老いたマイケルの内面に深く焦点を当てたドラマは、静かで重厚な人間ドラマとして展開されます。過去の罪と向き合い、家族との絆を取り戻そうとする彼の姿は、観る者に深い感動と共感を呼び起こします。
特に、オペラハウスでの悲劇的なクライマックスから、孤独な死へと至るラストシーンは、映画史に残るほど印象的であり、マイケルの運命の終焉を力強く描いています。
再評価の時!監督再編集版でよみがえる『ゴッドファーザーPARTIII』
そして2020年には、フランシス・F・コッポラ監督自身が本来の構想に近づけて再編集した『ゴッドファーザー最終章:マイケル・コルレオーネの最期』が発表されました。
この新バージョンでは、物語の流れがより洗練され、登場人物たちの感情や動機が鮮明に描かれることで、作品の評価が大きく見直され、再評価の声が高まっています。
偉大な前作の影に隠れた傑作か?あなたはどう見る?
『ゴッドファーザーPARTIII』は、決して「悪い映画」ではありません。
むしろ、偉大すぎる前二作の影に隠れてしまい、その真価を見失われていた作品と言えるでしょう。公開から時を経て、監督自身の再編集によって新たな解釈と評価がもたらされた本作。
ぜひこの機会に、マイケル・コルレオーネの魂の救済と家族の物語を、新たな視点で体験してみてはいかがでしょうか。
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