「エヴァ」制作会社ガイナックス、42年の歴史に幕 庵野秀明氏が破産整理終了を報告、旧経営陣の不正も告発
「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズなどで知られるアニメ制作会社株式会社ガイナックスの破産手続きが2023年12月10日をもって正式に終了しました。42年に及ぶ歴史に幕を閉じることとなりましたが、カラーの庵野秀明氏が自身のウェブサイトにて詳細な報告を発表し、その過程で明らかになった旧経営陣による不正についても触れています。
ガイナックスの歴史と経営悪化
1987年に映画「王立宇宙軍オネアミスの翼」の制作を目的として設立されたガイナックスは、庵野氏の初監督作品「トップをねらえ!」や「ふしぎの海のナディア」など、数々のヒット作を生み出してきました。庵野氏は2007年までガイナックスに籍を置き、その後も株主として関わり続けていました。
しかし、2012年頃から経営状況が悪化。カラーからの融資も行われましたが、2019年には当時の巻智博社長が刑事事件で逮捕されるという事態に。庵野氏は作品への影響を最小限に抑えるため、KADOKAWA、キングレコード、トリガーと共に新経営体制を整えました。
発覚した旧経営陣の不正行為
新体制下での調査により、旧経営陣の体制下で正当性を欠く権利移譲や資料譲渡が行われていたことが判明。庵野氏は、元福島ガイナックス代表の浅尾芳宣氏や、親交のあった山賀博之氏、武田康廣氏らの虚偽対応についても告発しています。
具体的には、山賀社長(当時)による入院中を装った居留守指示や、カラーを敵対視する発言、そして返済を逃れるための画策などが明らかになりました。庵野氏は「怒りを通り越して悲しくなりました」と心情を吐露しています。
これらの不正行為に対し、カラーは民事訴訟を起こし、最終的に2023年に被告からの謝罪を受け入れる形で和解が成立。作品の権利処理や譲渡についても、関係各社の尽力により、正当な手続きを経て権利者やクリエイターに返還されたとのことです。
破産申請と今後の展望
2024年5月には債権回収会社から債権請求訴訟が提起され、業務継続が困難と判断。同年6月に破産申請を行い、今回の破産処理の終了となりました。
庵野氏は報告の最後に、ガイナックス最後の代表取締役を務めた神村靖宏氏への感謝の言葉を述べています。大学時代からの友人である神村氏と共に、旧経営陣が放棄した責務を果たし、権利や資料の散逸を防ぎ、債権者へ真摯に向き合ってきたことを称賛しています。「神村、ありがとう。そして、御苦労様でした」という言葉で報告を締めくくっています。
今回のガイナックスの破産は、アニメ業界における権利管理の重要性や、経営陣の責任について改めて考えさせられる出来事となりました。
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