「あっぱれやったな、蔦重!」大河ドラマ『べらぼう』脚本・森下佳子が語る、幻となった“治済への復讐”と横浜流星の演技
2025年度大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が完結。日本のメディア文化の礎を築いた蔦屋重三郎(通称:蔦重)の波乱万丈な生涯を描いた本作の脚本を担当した森下佳子先生に、放送を終えた感想を伺いました。
当初は“謎解き”で終わる予定だった「治済への復讐」
ドラマ終盤の大きな見どころだった一橋治済への“かたき討ち”について、森下先生は「最初からこの形で描くつもりはなかった」と明かします。当初は、蔦重が写楽という謎を治済に仕掛け、そこで物語を終えるという構想だったそうです。
しかし、治済の強固な権力の前で蔦重の策がことごとく失敗する様子を描くうちに、「謎が残ることで、人はそれを解き明かそうとする」という写楽の正体を巡る現代の熱狂的な探求を思い出したといいます。
「それってすごいし、古びないよなあ」と考えた森下先生は、「今生では治済を討てなくても、歴史が下すことになるだろう」という“出口”を用意しようと試みます。蔦重たちの功績が現代に残っているように、卑怯な行いをした治済への感銘は残らないという考えから、「一所懸命生きた人の功績はちゃんと残る。それこそが復讐じゃないのか」と語ります。
「かたき討ちとガチャンコ」に至った理由
しかし、あまりにも観念的な結末になるのではないかという懸念から、最終的には「かたき討ちとガチャンコ」という、よりドラマチックな展開が採用されました。写楽の登場や絵に関する話題は当初の構想通りでしたが、復讐の形は途中で変更されたとのことです。
横浜流星の演技に森下佳子先生が込めた想い
ドラマを終えて、森下先生は横浜流星さんの演技について「ゴロンとその身を差し出す役者」と絶賛。役柄に全身全霊で向き合う姿勢に感銘を受けたことを明かしました。また、撮影中に「治済から祟られたらどうしよう」と冗談めかして呟いたエピソードも披露しています。
「定信がいつも布団部屋で号泣していた理由…」など、ドラマの裏側には、脚本家ならではの視点や苦悩、そして役者への深い信頼があったことが伺えます。
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