ドル基軸通貨の地位は盤石か?フランクリン・テンプルトンとGICトップが見解
世界金融市場を揺るがす「ドル覇権」の行方について、世界有数の資産運用会社フランクリン・テンプルトンとシンガポールの政府系ファンドGICのトップが19日、
ドルの地位は依然として盤石であるとの見解を示し、懸念は行き過ぎであると強調しました。
この発言は、シンガポールで開催された「ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム」で相次いで行われ、国際金融界に大きな注目を集めています。
フランクリン・テンプルトンCEO「ドルの支配力自体に疑問はない」
フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は、ドルの未来について問われ、
「ドルの支配力自体に疑問があるとは思わない。どの程度低下していくかという点が問題だ」と述べ、ドルの根強い影響力を改めて強調しました。
さらに、他国の通貨がドルに代わる基軸通貨の地位を確立することの難しさを示唆するかのように、「他にどこへ行くというのか」と冗談めかして語り、現状での代替通貨の不在を指摘しました。
GICも同調「米国のシステム基盤が揺るがぬ限り、地位は盤石」
ジョンソン氏と同様の見解を示したのは、シンガポールの政府系ファンドGICのリム・チョウ・キャットCEOです。
リム氏は、ドルが基軸通貨の地位を失う可能性は当面低いとの認識を示し、「米国のシステム基盤が揺るがない限り、そうした事態は極めて起こりにくいように思う」と発言しました。
これは、ドルの強さが単なる経済力だけでなく、米国の堅固な制度的基盤に支えられていることを示唆しています。
なぜ今、ドル覇権が議論されるのか?背景にある国際情勢
ドルの地位を巡る議論は、これまでも歴史的に繰り返されてきましたが、近年、再び活発化しています。
その背景には、米国の財政赤字拡大、そして一部の国々がドル覇権の弱体化を探る動きがあることが挙げられます。
特に2022年、バイデン米大統領がウクライナ侵攻を開始したロシアへの制裁手段としてドルを活用したことは、
「ドルは武器にもなり得る」という認識を世界中に広げ、各国が通貨戦略を見直すきっかけとなりました。
世界のトップが見るドルの未来:投資家への示唆
ジョンソン氏は、投資家の見方が「多くのことは自分がどの立場にいるか次第だ」と述べ、
投資家の所在地や投資対象とする資産、通貨の種類によってドルの未来に対する評価が異なることを示唆しました。
しかし、今回の両トップの発言は、国際金融市場におけるドルの地位が、現時点では揺るぎないものであるという共通認識を示しています。
金融市場の安定を求める投資家にとって、ドルの強固な基盤は引き続き重要な要素であり続けるでしょう。
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