ルンバ開発者が次に挑むのは「心を通わせる相棒」?新スタートアップが描く未来
かつて掃除機を変えたルンバの生みの親、コリン・アングル氏が、新たな挑戦を始めた。iRobotのCEOを退任後、設立したスタートアップFamiliarMachines&Magic(FM&M)は、単なるロボットの進化ではなく、人と感情的なつながりを築ける新しい存在の開発を目指している。
「道具」から「仲間」へ。FM&Mが目指すのは“Familiar”
コリン氏が掲げるのは「フィジカルAI」と「感情知性(EQ)」。従来のAIが情報処理に特化していたのに対し、FM&Mが開発するのは、実体を持ち、人の気持ちを理解し、記憶し、応答できる機械だ。これは、ただ作業をこなす「道具」ではなく、まるで「仲間」のような存在となることを意味する。
重要なのは形ではない。人型にこだわることなく、目的に最適なデザインを選ぶという思想は、ルンバ開発当時から変わらない。例えば、家全体がFamiliar的な「パートナー」として機能する未来も想定されている。
AIとハードウェアの融合で実現する、新しい体験
その実現を支えるのが、AIと再構成可能なハードウェアの融合だ。FM&Mでは、アクチュエーターやセンサーを組み合わせて自在に形を変えるモジュール構造を採用。実環境とシミュレーションのギャップを埋める独自の設計基盤を開発し、来年にはプロトタイプを公開する予定だ。
「ロボット」という言葉に込めた違和感。新概念「Familiar」とは?
コリン氏は、「ロボット」という言葉自体にも違和感を抱いているという。語源が「強制労働」であることから、人に寄り添い、共に暮らす存在として「Familiar」という新たな概念を提示する。利便性ではなく共感、作業の効率化ではなく「心に触れる体験」を提供することを目指している。
コリン氏は、日本市場がこうしたテクノロジーを受け入れてくれると期待している。テクノロジーが人間の「感情」と結びつき、生活そのものを変える──。彼の新たな挑戦は、ロボットの時代を超え、人と心を通わせる“ファミリアなマシン”を作ること。テクノロジーが「人のパートナー」へと進化する未来を、彼は本気で切り拓こうとしている。
コリン・アングル/ColinAngle
FamiliarMachines&MagicCEO&共同創業者。
ロボット掃除機「ルンバ」の生みの親。2024年に新会社を創業。
従来のような「タスクをこなすロボット」ではなく、感情知性(EQ)を備え、人に寄り添う”相棒的な機械”の開発を進めている。
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