イタリア激怒!「偽カルボナーラ」に宣戦布告!本物の定義を巡る世界的な食の論争
イタリアが誇る伝統的なパスタソース「カルボナーラ」を巡り、国際的な食の論争が勃発しています。欧州議会の売店で販売されていたベルギー製の瓶入りソースが、イタリアの怒りを買い、「料理犯罪」とまで非難される事態に発展しました。
イタリア激怒!「料理犯罪」と非難される「偽カルボナーラ」の正体とは?
ベルギー・ブリュッセルにある欧州議会の売店で、「カルボナーラ」と銘打って販売されていたある瓶入りソースが、イタリア人の猛烈な反発を招いています。イタリアのフランチェスコ・ロロブリジーダ農相は、この問題を「料理犯罪」と断じ、即刻捜査を要求するに至りました。
なぜここまで激怒するのか?それは、伝統的なカルボナーラのレシピにイタリアが非常に厳格なルールを設けているからです。昔ながらのカルボナーラは、豚肉、チーズ、卵黄、そしてコショウを混ぜ、食べる直前にパスタに絡めるのが必須とされています。
伝統を冒涜か?「グアンチャーレ」vs「パンチェッタ」論争の核心
問題の瓶入りソースを製造したベルギーの食品メーカー、デレーズは、自社製品がイタリア製だと主張してはいません。しかし、批判する側にとって許しがたい大罪は、グアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)の代替として、スモークパンチェッタを使用した点にあります。
イタリア料理のバイブルとも称される料理雑誌「ラ・クチーナ」によると、正しいカルボナーラのレシピでは、伝統的にグアンチャーレとペコリーノチーズ、そしてグラナチーズを使用します。グアンチャーレの代わりにパンチェッタを使うことは、決して許されない行為なのです。
ロロブリジーダ農相は自身のフェイスブックで、「カルボナーラのパンチェッタは論外として、こうした製品は全て、最悪のイタリア風製品の代表格だ」「それが欧州議会のスーパーマーケットに陳列されるなど容認できない。即刻捜査を要請した」と、その怒りをぶつけました。
国家のプライドとユネスコ登録への危機感
ロロブリジーダ農相にとって、これは単なる味だけの問題ではありません。それは国家のプライドをかけた重要な問題なのです。現在、イタリアは自国の食文化、特に伝統的なイタリア料理をユネスコの無形文化遺産に登録しようと動いており、今年12月には審査結果が出る見通しです。
しかし、世界中に出回っている「イタリア風」と称される料理の数々が、本物のイタリア料理の正当性を薄めかねないと農相は強く危惧しています。この騒動を受け、欧州議会は問題の製品を売り場から撤去したことを明らかにしました。
広がる「偽イタリア製品」問題と過去の炎上事例
今回のカルボナーラ問題は氷山の一角に過ぎません。イタリア専業農家連盟(Coldiretti)の報告によると、イタリア製食材の中でも特にモッツァレラ、サラミ、モルタデッラ、ペストなどは、偽商品が数多く出回っているといいます。
さらに、イタリア国旗の色を使用したり、イタリア語を思わせる商品名を使ったり、イタリアの名所の写真をパッケージに利用したりすることも、欧州連合(EU)の規定の下では「誤解を招く表示」にあたると同連盟は指摘しています。
カルボナーラが騒ぎを巻き起こしたのは、今回が初めてではありません。昨年には、米食品メーカーのハインツが発売した缶詰の「スパゲッティ・カルボナーラ」が、やはりグアンチャーレの代わりにパンチェッタを使用したことで、「キャットフードに等しい」と揶揄されるほどの激しい論議を巻き起こしました。
食文化を守る戦い:本物の味とは何か?
イタリアがこれほどまでに食の伝統とレシピにこだわるのは、それが単なる料理ではなく、何世紀にもわたる彼らの歴史と文化そのものだからです。今回の「偽カルボナーラ」問題は、グローバル化が進む中で、本物の食文化をいかに守り、次世代に継承していくかという、重要な問いを私たちに投げかけています。
世界中で愛されるイタリア料理。その「本物の味」を守るためのイタリアの戦いは、これからも続いていくでしょう。
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