日本の税制は時代遅れ?オーバーツーリズム解消のカギは「富裕層」を呼び込む税制改革に
訪日外国人旅行者の増加に伴い、オーバーツーリズムが深刻化しています。観光庁が推進する観光組織「DMO」(観光地域づくり法人)が地方創生の切り札として期待される一方、資金不足が課題となっています。その背景には、日本の税制が世界の非常識とまで言えるほど時代遅れになっているという問題があります。
オーバーツーリズムの根本原因と解決策
オーバーツーリズムの原因としてよく指摘されるのは、観光客密度です。しかし、入場制限などで来訪者数を減らすと、観光消費額も減少してしまいます。そこで注目されているのが、高付加価値客層、つまり富裕層を増やすことです。富裕層が地域で高額消費をすることで、観光消費額を維持・増加させることが可能になります。
海外の成功事例:アメリカの「使途限定エスクロー口座」制度
しかし、そのためには、地方自治体が富裕層の消費から直接利益を得られる仕組みが必要です。アメリカ、特に観光客が多いフロリダ州では、宿泊税収を政府の一般財源に含めず、使途限定の管理口座(エスクロー口座)に入れて、観光奨励目的以外に使わない制度が確立されています。これにより、地元住民の固定資産税を使わずに観光奨励金が確保でき、オーバーツーリズムの火種を構造的に断っています。
日本での取り組み:福岡県の宿泊税改革
日本でも、福岡県が使途限定エスクロー勘定方式による宿泊税の徴収を検討しており、実現すれば日本初の試みとなります。しかし、税額は定額制であり、富裕層が来訪しても税額が増えないという構造的な問題は残ります。
定率制宿泊税への構造変換が急務
今後、富裕層市場の拡大を目指すためには、富裕層誘致が成功すると宿泊税収がその分増えることができる定率制宿泊税への構造変換が不可欠です。北海道の倶知安町では、すでに定率制宿泊税が導入されており、その妥当性が証明されています。
オーバーツーリズム解消のためには、税制改革が不可欠です。日本の税制を世界水準に引き上げ、富裕層を呼び込むことで、地域経済の活性化と観光の持続可能性を両立させることが求められます。
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