山上徹也被告に「無期懲役」求刑 裁判傍聴記者が語る被告の表情と遺族の思い
2022年に奈良市で発生した安倍元総理銃撃事件で、被告の山上徹也氏(45)に検察側が「無期懲役」を求刑しました。長年、旧統一教会の問題を追跡取材してきたジャーナリストの鈴木エイト氏に、裁判の様子や被告の表情、そして遺族の思いについて話を聞きました。
山上被告の「淡々とした表情」
鈴木氏によると、求刑を受け取った山上被告は「基本的に表情を変えることは一度もなかった」とのこと。最終弁論を聞く際も「粛々と受け止めていた」と語ります。最終意見陳述の機会が与えられた際も「ありません」と一礼し、淡々とした態度を貫いたといいます。
鈴木氏は、山上被告の口から全ての事情が語られたとは限らないため、裁判員が判断できる材料が揃っているか「未知数」だと指摘します。
安倍昭恵さんの書面から見えた「思い」
裁判冒頭では、安倍元総理の妻である昭恵さんの書面が弁護士を通じて代読されました。鈴木氏は、その書面から「山上被告にかける思いが垣間見えた」と話します。
「昭恵さんが出廷されたときに謝罪がなかったということが引っかかってるような印象を受けましたね。昭恵さんが刑務所の訪問などをしていることにご本人が触れた上で、決して死刑とか極刑を望んでいないこと、立ち直ってほしいこと、被告人にかけるそういう思いも少し垣間見えた気はします」
最終陳述で語られなかった「真意」
山上被告は最終陳述で意見陳述を行いませんでした。鈴木氏は、弁護人との会話から、連日の被告人質問の連続で「すべて言いたいことを言いきれていないのではないか」と推測します。
「最終陳述で何か彼の口から、(狙ったのは)なぜ安倍元総理だったのか、(安倍元総理)本人に対する気持ちが語られるんじゃないかと思っていたんですが、それがなかったところは少し気になりました」
事件に向き合ったのは「公判2日目から」?
鈴木氏は、山上被告が「本当にこの事件に向き合ったのは公判2日目からだったのではないか」と分析します。監視カメラの映像を見て初めて事件のリアリティを感じ、安倍昭恵さんの出廷を機に遺族の気持ちに触れ、最終的に被告人質問で謝罪することを決めたという一連の行動から、「自分の決めたことを破ることはできない彼の実直さ、愚直さも感じられる」と語ります。
この事件は、単なる犯罪行為にとどまらず、社会全体に大きな衝撃を与えました。今後の裁判の行方、そして山上被告の真意が明らかになるのか、注目が集まります。
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