【ライブレポート】シグリッド、日本愛爆発!恵比寿で魅せた魂の歌声と「クラゲダンス」の夜
ノルウェーが誇る国民的シンガー・ソングライター、シグリッド(Sigrid)の再来日公演が、先日大阪・東京で実現しました。RollingStoneJapanで彼女のインタビューを担当してきたライター・岡俊彦氏によるレポートを基に、2023年11月19日に恵比寿ザ・ガーデンホールで開催された東京公演の熱狂をお届けします。
最新作『There’sAlwaysMoreThatICouldSay』のリリースがあったとはいえ、こんなにも早くシグリッドの再来日公演が実現したことに多くのファンが歓喜しました。これは、日本のファンを大切に思うシグリッドの強い気持ちが反映された結果です。特に、最新作に収録されている楽曲「TwoYears」が日本で制作されたこともあり、「このアルバムのツアーは日本から始まる予定」と語っていた彼女の想いが現実のものとなりました。大阪公演の前日には、ファンと共に山道をハイキングするイベントも行われ、その日本愛は計り知れません。胸がいっぱいになるファンが続出したのは間違いありません。
シグリッド、日本愛あふれるステージ開幕!新体制バンドも躍動
11月19日、東京公演当日。恵比寿ザ・ガーデンホールでは、開演前からピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの「YoungFolks」など懐かしい北欧ポップがBGMとして流れ、期待感を高めます。定刻の19時、暗転したステージにバンドメンバー、そして白Tシャツにジーンズというお馴染みの飾らないスタイルでシグリッドが登場!会場からは割れんばかりの歓声が上がりました。
ライブ本編は、最新作と同様に「I’llAlwaysBeYourGirl」から力強くスタート。続く2曲目には2ndアルバム『HowtoLetGo』からの先行シングル「BurningBridges」と、アップテンポなナンバーが矢継ぎ早に演奏され、一気に会場を温めます。今回は新体制での来日となりましたが、新加入した英国人ベーシストのスカーレット・ハルトンが八面六臂の活躍を見せ、バンドアンサンブルは完璧。圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了しました。
親しみやすさ全開!「クラゲダンス」と特別な絆に感動
3曲目の「KissTheSky」の演奏前には、シグリッドから「お世辞じゃなくて、本当に日本が大好き!」というMCが飛び出し、彼女が心から今回の来日公演を楽しんでいることが伝わってきます。その後、1stアルバムのタイトルトラック「SuckerPunch」の演奏を終えると、ちょっとしたサプライズが!最新作の共同プロデューサーであるアシェルが、自身のソロアルバム制作のため10月から日本に滞在しており、観客として来場しているとのこと。
シグリッドは彼を指差して紹介し、彼との友情を歌った曲だとコメント。そして始まった「Jellyfish」では、両腕を左右に振るユーモラスな「クラゲダンス」を披露しました。笑顔で観客を巻き込み共に踊る姿は、まるで誰からも慕われる「優しい先生」のよう。伸びやかな歌声は超本格派なのに、この親しみやすさ。観客の心もほぐれ、自然と笑顔になっていくのを感じたことでしょう。
さらに、「これは去年、下北沢で書いた曲!」との紹介で始まった「TwoYears」で繰り返される「オスロから東京へ」という歌詞を、東京でのライブで聴く醍醐味は格別でした。オスロ(ノルウェー)からやってきたシグリッドと日本の観客との幸福な邂逅は、何物にも代えがたい特別な絆を感じさせました。
弾き語りで魅せる!シグリッドの原点と魂の歌声
ジャングリーなギターロック調の名曲「HaveYouHeardThisSongBefore」を終えると、バンドメンバーは一旦退場。キーボーディストのペーダーと2人で最新作のタイトルトラック「There’sAlwaysMoreThatICouldSay」を演奏し、続けてシグリッド自身がキーボードの弾き語りを披露するソロコーナーへと突入します。MCで「子供の頃は実家でピアノを弾きながらこうやって歌っていた」と語ったように、弾き語りこそ彼女の原点。
そこで歌われたのは、会場にいるアシェルと初めて共作した「Dynamite」、そして自身のツアー生活を綴った「Grow」でした。ニール・ヤングやアデルをルーツとして挙げるシグリッドの、シンガーソングライターとしての地力が直に伝わってくる生々しい歌声に、会場は息を呑んで聞き入りました。
会場一体のクライマックス!「FortKnox」でジャンプの嵐
次曲の「TheHype」からはバンドが再びステージに戻り、ライブはクライマックスへ。馬が広大な平原を夕日に向かって走っていくようなイメージで作られたという「EternalSunshine」の力強いビートは、ライブが最高潮に向かっていく場面にぴったりで、会場の熱をさらに高めていきます。そして、最新作を代表する楽曲であり、シグリッド史上もっともパワフルなナンバーといっても過言ではない「FortKnox」では会場中がジャンプ!ジャンプ!と熱狂の渦に包まれました。
最後は「Don’tKillMyVibe」「Strangers」と初期の代表曲を立て続けに演奏。観客からの大合唱も巻き起こり、恵比寿ザ・ガーデンホールは当日の寒さを吹き飛ばすような多幸感で満たされました。
アンコールなしで全23曲、1時間半を一気に駆け抜けた今回のライブ。最終的に最新作の収録曲は全て披露されるなど、改めて現在のシグリッドの充実ぶりを実感させてくれる内容でした。凝った演出に頼ることなく、あくまでも音楽一本で勝負。自然で、無理がなくて、だけれどもポップ極まりないという、音楽の楽しさを全身で体現し感じさせてくれる彼女の魅力が凝縮された一夜。まさに、シグリッドの真骨頂ここにあり!と言える素晴らしいライブでした。
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