YKKAP専務執行役員CHRO西田政之氏が語る「組織の気象予報士」としての人事哲学
YKKAP株式会社の専務執行役員CHROである西田政之氏が、人事制度の本質について新たな視点を提示しました。従来のKPI至上主義や制度設計に捉われず、「関係性の土壌」を育むことの重要性を訴え、自らを「組織の気象予報士」と定義しています。
金融界から人事へ。キャリアチェンジの原点とは?
西田氏は、金融業界から人事の世界へ転身した異色の経歴を持ちます。金融業界で「社会のため」と「金もうけ」のギャップに疑問を感じたことが、人事への扉を開いたきっかけでした。外資系コンサルティング会社マーサーの社長柴田励司氏との出会いを「邂逅」と捉え、人事の世界へ飛び込むことを決意したと語ります。
人事制度は「設計」するもの?西田氏が提唱する“関係性重視”の考え方
多くの人事担当者が抱える「人事制度は本当に設計するものなのか?」という根源的な問いに対し、西田氏は「制度作りの前にまず『関係性の土壌』を育むべき」と主張します。コンピテンシー評価やジョブ型人事制度といった手法が必ずしも成功するとは限らず、「フェアとは誰が決めるのか」という本質的な問いを深めることこそ重要だと説きます。
「組織の気象予報士」とは?
西田氏は、CHROの役割を「問いに生きる人間」と捉え、組織に「問い」を投げかける存在だと定義します。その上で、「組織の気象予報士」という言葉を用いて、現場の空気や社員の感情を読み取り、言葉に変換していくことの重要性を強調します。経営が船の舵を取るのに対し、CHROは風の動きを読み、人の声にならない声に耳を傾ける役割だと述べています。
YKK精神「善の巡環」を社員が実感できる場づくり
YKKAPの企業理念である「善の巡環」を、社員一人ひとりが実感できる場づくりを、西田氏は目指しています。受賞の感想では、今回の「HRアワード2025」企業人事部門最優秀個人賞は、「見えないものを大事にする姿勢を、これからも続けていいんだ」という後押しだと受け止めています。着任後1ヶ月で約70人の役員や幹部社員との1on1を実施し、今後も工場や支社、海外拠点への訪問を予定しており、現場との対話を重視する姿勢を示しています。
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