ウルトラマンタロウが暴いた52年前の衝撃…戦いの裏に隠された「タブー」とは?
ウルトラシリーズの歴史に深く刻まれた、あるエピソードが話題を呼んでいます。それは、1973年に放送された『ウルトラマンタロウ』の第38話「ウルトラのクリスマスツリー」。この回は、シリーズ最大のタブーと言われる「巻き込まれた一般市民の存在」に、あえて踏み込んだ内容で、今もなお多くのファンに衝撃を与え続けています。
ウルトラシリーズの「タブー」とは?
ウルトラマンシリーズは、怪獣や宇宙人が地球を襲う中、正義のヒーローであるウルトラマンが人々を守る物語です。しかし、その戦いの舞台となるのは、しばしば市街地。建物が破壊されるのは避けられません。そこで浮上するのが、「戦いの犠牲になった一般市民はいないのか?」という疑問です。
ウルトラマンの戦いは、あくまで怪獣との戦いであり、ウルトラマン自身は意図的に破壊行為を行っているわけではありません。しかし、破壊された建物の中に人がいなかったのか、という点は、シリーズにとって大きなタブーとされてきました。なぜなら、ウルトラマンのせいで「人が死ぬ」という事実は、シリーズ全体の「正義」の根幹を揺るがしかねるからです。
『ウルトラマンタロウ』が描いた衝撃の真実
このタブーに斬り込んだのが、『ウルトラマンタロウ』でした。同作品は、他のシリーズに比べてコメディー要素が強く、明るい雰囲気で知られています。しかし、その裏には、少女の両親がウルトラマンタロウと怪獣の戦いで亡くなったという衝撃的な事実が隠されていました。
それは、第5話「親星子星一番星」でタロウが戦った巨大亀の怪獣「キングトータス」との戦闘シーン。タロウが団地ビルに倒れ込んだ際、その団地が破壊され、少女の両親が亡くなったのです。劇中でこの事実を知ったタロウ(東光太郎)は、ショックを受けながらも、すぐに次の戦いに追われ、深く落ち込む暇もありませんでした。
タブーを乗り越えた『タロウ』の姿勢
『ウルトラマンタロウ』は、タブーに踏み込みながらも、それを正面から受け止めることなく、物語を通常通り進行させました。光太郎が罪悪感に苛まれるような描写はなく、最後はクリスマスツリーに変身するなど、明るい雰囲気で締めくくられています。
この「タブーを忍ばせつつ、明るさを失わない」という手法は、『タロウ』という作品の真骨頂と言えるでしょう。また、少女の両親が亡くなった原因となったキングトータスの回では、タロウが子亀を失った怪獣に同情するシーンもあり、「目の前で母を失った怪獣に同情するなかで、足元では少女の両親の命が奪われていた」という、なんとも皮肉な状況が描かれています。
このエピソードは、ウルトラシリーズの新たな一面を見せ、多くのファンに深い印象を与えました。52年前のクリスマスに制作されたこの傑作エピソードは、令和の現在においても、改めて見返してみる価値があるでしょう。
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