オグリキャップ・ラストラン秘話:武豊が語る「ライアン!」発言の真相と、異様な雰囲気の有馬記念当日
1990年の有馬記念。「芦毛の怪物」と呼ばれ、多くの競馬ファンを魅了したオグリキャップのラストランは、今もなお語り継がれる伝説となっています。今回は、ノンフィクションライター江面弘也さんの著書『オグリキャップ日本でいちばん愛された馬』から、当時の熱狂と、騎手武豊さんの貴重な証言を紐解きます。
午前中から異様な熱狂
1990年12月23日、中山競馬場は開場前から異様な熱気に包まれていました。新装されたスタンドは人で溢れかえり、1階自由席は身動きが取れないほどの混雑。武豊さんは当時を振り返り、「前の日、京都で乗っていたんですが、移動する駅にはカメラマンやファンがすごい数でした。夜、中山に着いたときには、徹夜で並んでいた人の列が200メートルくらいできていましたからね」と語ります。
連敗続き…それでも武豊は「ひょっとしたら」
オグリキャップは、有馬記念を迎えるまでに天皇賞(秋)6着、ジャパンカップ11着と、信じられないような連敗を喫していました。武豊さんは「オグリらしくないな、とは思って見ていました。あんなに走らないのはよほどのことだと。癖のあるむずかしい馬ではないので、原因は絶対に体調だと思っていました」と語ります。それでも、オグリキャップへの信頼は揺るぎませんでした。「オグリらしくない」走りを見せていたとはいえ、武豊さんは「ひょっとしたら」という希望を捨てきれませんでした。
ラストランへの強い想い
武豊さんは、オグリキャップに大役を任されたことへの喜びを語ります。「また乗せてもらえるんですか!という感じで、すごくうれしかった」。しかし、当時のライバルはホワイトストーン、メジロライアン、メジロアルダンといった強豪揃い。「勝つとなると微妙なところはありましたし、追い切りに乗ってみても安田記念のような感じではなかった」。それでも武豊さんは、「たとえだめでも、オグリキャップらしいレースを絶対させなきゃいけないな」と、強い決意を胸に刻みました。
オグリキャップのラストラン。武豊さんの「ライアン!」という叫びは、今も多くのファンの記憶に残っています。その真相と、当時の熱狂を、ぜひ江面弘也さんの著書『
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