WBA、WBC、WBO世界スーパーバンタム級1位の中谷潤人選手（27歳）が、27日サウジアラビア・リヤドで行われたWBC同級10位セバスチャン・エルナンデス選手（25歳）とのスーパーバンタム級ノンタイトル12回戦で、3-0の判定勝ちを収めました。国内男子ボクサーのプロデビューから32連勝を維持し、来年5月に予定されている井上尚弥選手とのビッグマッチに向けて弾みをつけました。

激闘を制した中谷潤人

試合は、中谷選手が序盤、左カウンターを効果的に当て、早いラウンドでの決着を狙う展開となりました。しかし、エルナンデス選手は驚異的なタフネスを見せ、激しい連打で果敢に攻め続けます。後半戦では、中谷選手がロープを背負う場面も多く、苦戦を強いられました。

判定は、115-113が2人、118-110が1人で、3人のジャッジ全てが中谷選手を支持しました。試合後、右目が大きく腫れ上がった中谷選手は、「とてもタフな試合だった。キャリアにとって良い経験になった」と振り返り、安堵の表情を見せました。

減量苦から階級転向、井上戦を見据える

中谷選手は、6月に西田凌佑選手を破りWBC、IBF世界バンタム級王座を統一。しかし、減量苦に悩んだことから、1階級上のスーパーバンタム級への転向を決断しました。この決断の背景には、井上尚弥選手との約束された来年5月の東京ドーム決戦があります。

試合前には、「もちろん5月の試合は見据えている」と意気込みを語っていた中谷選手。合宿では、井上選手と対戦したカルデナス選手を練習パートナーに迎え、技術を磨いてきました。「お互いを高めるパートナーで刺激を与え合った」と、その手応えを語っています。

新たな階級での挑戦

この勝利で、中谷選手はプロ戦績を32戦全勝24KOとしました。強打が持ち味ですが、井上選手との対戦を見据え、転級後はボクシング技術の向上に力を入れています。「パンチには過信せず、ボクシングの技術を磨いて、たくさんパンチを出して試合をコントロールしたい」と、新たな決意を語りました。

中谷選手は、「サウジアラビアでインパクトを与えることは意識している」と語り、スーパーバンタム級での新たな挑戦をスタートさせました。この勝利を糧に、来年5月の井上尚弥選手とのビッグマッチに向けて、さらに進化していくことが期待されます。

中谷潤人選手プロフィール

中谷潤人選手は、1998年1月2日生まれ、三重県東員町出身。幼少期に空手を学び、中学1年からボクシングを始めました。アメリカに渡り、ルディ・エルナンデストレーナーの指導を受け、アマチュアで14勝2敗を記録。2015年4月にプロデビューし、数々のタイトルを獲得してきました。身長173センチの左ボクサーファイターです。