横浜流星さんが主演を務めたNHK大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」が12月14日に最終回を迎え、その斬新なストーリーと俳優陣の熱演が大きな話題を呼んでいます。従来の武将や幕末の人物が主人公の大河ドラマとは一線を画し、江戸時代の市井の人々を描いた本作が、なぜ多くの視聴者を魅了したのか、その魅力を深掘りしていきます。

型破りな主人公と、それを彩る脚本

「べらぼう」が描いたのは、“江戸のメディア王”蔦屋重三郎。喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴ら、江戸時代を代表する文化人を世に送り出した人物です。脚本を手掛けたのは、数々のヒット作を生み出してきた森下佳子さん。史実を基にしながらも、大胆な想像力を加え、蔦重の波乱万丈な人生をエンターテインメントとして昇華させました。

特に注目されたのは、史実の“点”と“点”を繋ぐ森下さんの筆致。例えば、蔦重が手掛けた浮世絵「青楼美人合姿鏡」に描かれた瀬川（小芝風花さん）が本を読んでいる姿から、蔦重と瀬川の切ない恋物語を紡ぎ出すなど、細部にまでこだわり抜かれた脚本は、視聴者を飽きさせませんでした。

俳優陣の熱演がドラマをさらに引き立てる

森下さんの脚本を支えたのは、横浜流星さんをはじめとする豪華キャスト陣。横浜さんは、吉原で育った若き日の蔦重から、大店の主としての風格を漂わせる晩年まで、その人生を全身で演じきりました。染谷将太さん演じる歌麿との友情、小芝風花さん演じる瀬川との切ない恋、そして渡辺謙さん演じる田沼意次との駆け引きなど、それぞれのキャラクターがドラマを彩りました。

また、井上祐貴さん演じる松平定信のキャラクターも話題を呼びました。当初は冷徹な悪役として描かれながらも、終盤では“推し”の戯作者を愛するオタク気質の一面を見せ、視聴者を魅了しました。

「そうきたか！」の連続が視聴者を惹きつける

「べらぼう」は、単なる時代劇ではありません。蔦重の「書をもって世を耕す」という信念、そしてエンターテインメントの力を信じて立ち向かう姿は、現代を生きる私たちにも響きます。劇中では、「そうきたか！」と驚かされる展開が次々と起こり、視聴者を飽きさせません。

また、新之助（井之脇海さん）というオリジナルキャラクターの登場も、ドラマに深みを与えました。天災や社会の矛盾に翻弄されながらも、懸命に生きる新之助の姿は、視聴者の心を打ちました。

大河ドラマ「べらぼう」は、横浜流星さんの熱演、森下佳子さんの冴えわたる脚本、そして豪華キャスト陣の息の合った演技が融合した、まさに最高に粋なエンターテインメント作品でした。