企業国家アメリカで女性のキャリアアップに暗雲?調査報告書が警告
アメリカの大企業における女性の地位向上に、後退のリスクが迫っていることが、最新の調査報告書で明らかになりました。これまで10年間、緩やかながらも女性管理職や経営幹部の割合は増加傾向にありましたが、企業の優先順位の変化や従業員の体験談から、その成果が危うくなっている可能性が指摘されています。
女性のキャリアアップへの取り組み、企業間で温度差
コンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニーと、働く女性を支援する団体リーン・インが共同で発表した年次報告書によると、企業のあらゆる階層において、依然として女性の割合が低い状況が続いています。さらに、女性の昇進に対する企業の取り組みが弱まっている兆候が見られます。
調査では初めて、企業に「女性のキャリアアップ」への取り組みについて直接尋ねたところ、54%の企業が「高い優先度を置いている」と回答しました。しかし、女性の有色人種の登用を重視していると答えた企業は46%にとどまりました。さらに、21%の企業は女性のキャリアアップを「ほとんど、あるいは全く重視していない」と回答しており、企業間の取り組みに大きな温度差があることが明らかになりました。
リーン・インの共同創業者兼CEOであるレイチェル・トーマス氏は、「アメリカの企業が女性のキャリアに対する取り組みを後退させ、女性たちがそれを感じている。10年間の苦労と目に見える進歩を遂げてきた後、後退の危機に瀕しているように感じる」と警鐘を鳴らしています。
昇進の機会、依然として男性に有利
調査によると、昇進の機会は依然として男性に有利な状況が続いています。男性100人に対し、女性は93人という割合で昇進しており、前年の報告書の81人からは改善しているものの、依然として差は残っています。ただし、調査報告書は「今年のデータは実態より良く見える可能性がある」と指摘しており、女性の割合が高い企業がデータを提供している可能性も示唆しています。
キャリア初期の女性ほど「支援者」が少ない
また、調査では、上級職の女性の66%が「支援者がいる」と回答したのに対し、男性は72%でした。キャリア初期の女性では、その差はさらに大きく、女性は31%に対し、男性は45%でした。報告書は「支援者がいる従業員は、いない従業員に比べて昇進率がほぼ2倍になる」と指摘しており、キャリア初期の女性ほど支援を得ることが難しい状況が、昇進の機会を逃す一因となっている可能性があります。
リーダーシップ研修の機会も男性に偏り
さらに、上級職の男性は、リーダーシップ研修やキャリア研修への参加機会を提示されたことがあると回答する割合が、女性より70%も高かったことも明らかになりました。これらのデータは、アメリカの企業における女性のキャリアアップが、依然として多くの課題に直面していることを示唆しています。
今回の調査結果は、企業がジェンダー多様性の取り組みを再評価し、女性のキャリアアップを真剣に支援するための具体的な対策を講じる必要性を示唆しています。女性が活躍できる社会を実現するためには、企業だけでなく、社会全体での意識改革が求められます。
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