緊迫の日中局長協議:高市首相答弁で台湾有事巡り激論、中国は撤回要求し溝埋まらず
冷え込む日中関係、台湾有事を巡る議論が焦点に
日中両国の外交当局は18日、北京の中国外務省で局長協議を開催しました。この協議は、高市首相の国会答弁が発端となり、急速に冷え込んでいる日中関係の打開策を探るものです。特に、
日本の「台湾有事」と「存立危機事態」に関する首相の答弁が主要な議題となりました。
日本の立場説明も、中国は「一つの中国」原則を主張し撤回要求
協議には、日本側から外務省の金井正彰アジア大洋州局長、中国側から劉勁松(リウジンソン)外務省アジア局長が出席しました。高市首相が7日に関連の答弁をして以来、両政府の高官が対面で協議するのは今回が初めてとなります。
日本側は、高市首相の答弁が1972年の日中共同声明で承認された「中国を唯一の合法政府」とする日本の従来の立場を変えるものではないと説明し、理解を求めました。しかし、中国側はこれを「『一つの中国』原則に反し、中日関係の政治的基礎を根本から破壊するものだ」と強く主張。撤回を求め、双方の溝は埋まりませんでした。
中国総領事の投稿問題や渡航注意喚起も議題に
金井局長は、協議の中で複数の懸案事項を提起しました。その一つが、中国の薛剣(シュエジエン)駐大阪総領事が高市首相答弁に関連して、「その汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない」などとX(旧ツイッター)に投稿した問題です。金井局長は改めて強く抗議し、中国側に適切な対応を要求しました。
また、中国政府が「日本の治安が不安定だ」と主張し、中国国民に日本への渡航を控えるよう注意喚起したことについても、「治安は決して悪化などしていない」と反論。中国側に再考を求めるとともに、在留邦人の安全確保も申し入れました。
今後の日中関係の展望:対話継続の姿勢
日本側は今後も中国側に粘り強く説明を重ね、理解を求めていく方針です。
一方で、中国外務省は、南アフリカで開かれる主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)で、李強(リーチャン)首相と高市首相が会談する予定はないと明らかにしています。
これに対し、木原官房長官は18日の記者会見で、「日中間の様々な対話を行うことに日本側はオープンだ」と述べ、対話の門戸は開かれているとの姿勢を示しました。両国の関係改善には、依然として多くの課題が横たわっています。
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