【訃報】俳優・仲代達矢さん92歳で逝去執念の役者人生、その舞台裏と偉大な功績を辿る
日本映画・演劇界に悲しい知らせが飛び込んできました。先日、94歳の俳優・大村崑さんが人生初の骨折に見舞われながらも「108歳まで生きる」と語った矢先、その1歳下にあたる名優・仲代達矢さんが92歳で永眠されました。
ついにその炎を消す時が来た、と報じられた仲代さんの訃報に、多くのファンが悲しみに暮れています。
壁一面のセリフに隠された役者魂~81歳での驚くべき努力~
俳優として半世紀以上にわたり第一線を走り続けた仲代さん。
その執念ともいえる役者魂を象徴するエピソードが、かつて公開された貴重な写真から垣間見えます。
当時81歳だった仲代さんの寝室には、壁一面に自筆の“言葉の群れ”が貼られていました。
これは一人舞台「バリモア」のセリフで、夜中もベッドに横たわりながら、気になると懐中電灯で照らして確認するという徹底ぶり。
「セリフ覚えのために、こんなバカをやってるんですよ」と謙遜しながらも、この飽くなき探求心と努力こそが、彼を「伝説の俳優」たらしめた所以でしょう。
「役者に引退はない」――舞台『バリモア』に込めた魂のメッセージ
「スポーツ選手と違って役者に引退はない」。
この言葉を体現するように、仲代さんは晩年まで数々の舞台に立ち続けました。
特に舞台「バリモア」は、一昨年も再演された彼の代表作の一つ。
往年のハリウッド俳優の名を冠したこの作品で、彼はこんな言葉を語っています。
「“夢が後悔に変わるまで、人は年を取らない”。バリモアの言葉です。スポーツ選手と違って役者に引退はない。舞台で死ぬのが役者の本望といいますが、僕は、イヤだ」。
この言葉からは、引退をせず、夢を持ち続けて現役であり続けることへの強い意志が感じられます。再演が最後の舞台となった「バリモア」は、彼の役者人生の集大成ともいえるでしょう。
映画・テレビ界の金字塔を打ち立てた名優の軌跡
俳優座の門をたたいた19歳から、仲代さんはその才能を開花させます。
映画「七人の侍」での端役デビューを皮切りに、その後は映画やテレビの世界でも第一線を走り続けました。
「影武者」「二百三高地」「新・平家物語」「大地の子」など、誰もが記憶にとどめる数々の名作で、その圧倒的な存在感を放ち続けました。
仲代さんの姿は、日本映画史、テレビドラマ史に深く刻まれています。
役所広司、若村麻由美、滝藤賢一…『無名塾』で育んだ次世代の光
仲代さんの功績は、自身の演技に留まりません。
1975年には妻と共に俳優養成所「無名塾」を設立し、後進の育成にも尽力しました。
ここからは、役所広司さん、若村麻由美さん、滝藤賢一さんといった、現在の日本を代表する名優たちを世に送り出しました。
彼らと共に舞台を創り上げることは、仲代さんの真骨頂であり、そこには深い愛情と情熱が注がれていました。
永遠に輝き続ける「俳優・仲代達矢」の魂
「舞台で死ぬのが役者の本望といいますが、僕は、イヤだ」。
そう語り、最後まで現役として夢を追い続けた仲代達矢さん。
彼の魂は、数々の作品、そして彼が育てた俳優たちの中に、これからも生き続けることでしょう。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
コメント一覧
まだコメントはありません。
← トップに戻る