エルメス、37年の功績を称えるラストコレクション-ヴェロニク・ニシャニアンの美学
「エルメス(HERMES)」が、パリ・メンズ・ファッションウィークで2026-27年秋冬メンズ・コレクションを発表。37年もの間、メンズ担当アーティスティック・ディレクターを務めてきたヴェロニク・ニシャニアン(VéroniqueNichanian)の退任に際し、今季が彼女にとって最後のコレクションとなりました。
37年間の深化:ニシャニアンがエルメスに刻んだ美学
37年という長きにわたり、エルメスと共に歩んできたヴェロニク・ニシャニアン。会場は、その節目を迎える特別なショーであることを予感させる、張り詰めた空気感に包まれました。ファーストルックとして登場したのは、しなやかなブラックカーフスキンのミニマルなロングコート。インナーにはタイドアップしたピートカラーのコットンポプリンシャツを合わせ、黒と土色が溶け合うダークトーンのレイヤードスタイルが、コレクション全体の基調を示しました。
過去と現在を繋ぐ象徴的なデザイン
今季のコレクションでは、ニシャニアン自身が選んだ過去の「9つのシーズン」から、象徴的な要素やパターンが取り入れられました。特に注目を集めたのは、35年前の1991-92年秋冬コレクションで発表されたカーフスキンのジャンプスーツの復刻。時代を超越したモダンな佇まいは、エルメスのスタイルが持つ普遍的な魅力を物語っています。
隠された贅沢と成熟した矜持
ショー中盤には、クミンイエローやサンセットオレンジといった鮮烈な色が差し込まれ、抑制された色彩の世界にアクセントを加えました。また、シアリングとニットの融合も印象的で、スポーティーさとラグジュアリーさを巧みに共存させています。さらに、オーバーシャツの内側に隠されたメゾンを象徴するスカーフ柄「ブリッド・ドゥ・ガラ」は、着る人だけが知るための贅沢なディテール。成熟したニシャニアンの矜持が感じられる、美学への深いこだわりが随所に光りました。
37年という長い年月をかけ、エルメスと一体化してきたヴェロニク・ニシャニアンのラストコレクションは、変化を恐れず、深化を追求し続けた彼女の美学を凝縮した、記憶に残るショーとなりました。
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