ドイツデジタル化の遅れを取り戻せるか?民間出身大臣に託された期待と課題
2018年のハノーバーメッセで脚光を浴びた「インダストリー4.0」。しかし、近年この言葉を聞く機会は減りました。そんな中、ドイツ政府はデジタル化の遅れを認識し、初の専門省を設立しました。民間企業の経営者を大臣に抜擢するという異例の措置は、ドイツのデジタル化にどのような変化をもたらすのでしょうか?
ドイツデジタル化の現状と課題
ドイツは連邦制を採用しており、権限が分散しているため、デジタル化に関する取り組みも複数の省庁、政府機関に分担されています。このため、デジタル・インフラの整備など、一元的な管理が必要な課題も存在していました。2025年に設立されたデジタル化・国家近代化省は、この課題を解決するために創設されました。
これまで、ドイツ政府はデジタル化を十分な優先順位に置いていませんでした。2013年から2025年4月までは、交通省がデジタル化も担当していましたが、デジタル化への注力は限定的でした。今回の専門省の設立は、デジタル化がドイツの政界で重要な課題として認識されたことを示しています。
民間出身大臣に託された期待
デジタル化大臣に就任したのは、小売企業セコノミー社の元社長カルステン・ヴィルトベルガー氏(56歳)。メディア・マルクトやザトゥルンなどの家電量販店を運営する同社の経営者として、デジタル技術を活用したビジネスに精通しています。また、大手電力会社エーオンやボストン・コンサルティング・グループでの経験も持ち、幅広い知識と経験が期待されます。
ヴィルトベルガー氏は、首相のフレドリヒ・メルツ氏の知人であり、CDU経済評議会で共に活動していました。メルツ首相は、民間経済に詳しい人材を積極的に閣僚に起用しており、今回の人選もその一環と言えるでしょう。
大臣の課題:省庁間の調整と権限の壁
中央官庁での勤務経験がないヴィルトベルガー氏にとって、大臣職は大きな挑戦です。デジタル化に関する政策は、他の省庁との綿密な調整が不可欠です。例えば、EUのAI法への対応、製造業のデジタル化(インダストリー4.0、マニュファクチャリングXなど)、電力市場のデジタル化は経済エネルギー省の管轄であり、サイバー攻撃対策やデジタル・インフラの保全は内務省の管轄です。電子カルテに関する権限は健康省に付与されています。
ヴィルトベルガー氏は、これらの省庁の垣根を越えて、行政のデジタル化やデジタル・インフラの構築など、包括的な分野を担当することになります。省庁間の連携を強化し、デジタル化を加速させることが、彼の最大の課題となるでしょう。
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