『うたミル』原作・山中拓也氏が語る、アニメ脚本とゲームシナリオの違い「作り物っぽさを徹底的に削ぎ落とした」
女子高校生の青春とアカペラの魅力を描く音楽プロジェクト『うたごえはミルフィーユ』(通称:うたミル)。オーディオドラマから始まり、この度テレビアニメが放送されました。本作の企画・原作・シリーズ構成・脚本を全て手掛けた山中拓也氏に、制作の裏側やアニメならではの挑戦について語っていただきました。
ゲームクリエイターからアニメ脚本家へ
山中氏は、これまでジュブナイルRPG「Caligula-カリギュラ-」シリーズを手掛けるなど、ゲームクリエイターとして活躍してきました。今回の『うたミル』は、ポニーキャニオンとの共同企画から生まれた作品です。
「大学時代にアカペラサークルに所属していた経験が忘れられず、いつか作品にしたいと思っていたんです。オーディオドラマと声優さんのアカペラという形で企画を練り、アニメ化という形で実現しました。」
アニメとゲーム、シナリオの違い
山中氏は、ゲームシナリオとアニメ脚本の違いについて、「ゲームはプレイヤーがボタンを押す体験や、敵を倒して成長していく没入感が物語を輝かせる。一方、アニメは視聴者が受け身になるため、限られた時間の中でキャラクターを生き生きと描く技術が求められる」と語ります。
「ゲームではテキストを増やしやすいですが、アニメでは尺の関係で言葉選びが重要になります。アニメでは、“作り物っぽさ”を徹底的に削ぎ落とすことを意識しました。アニメのテンプレートやフォーマットにこだわらず、現実の会話に近いテンポや自然な演技を求めたんです。」
キャストの成長と物語の連動
『うたミル』の大きな特徴は、声優陣が実際にアカペラに挑戦し、その成長過程を作品と同時進行で届けている点です。山中氏は、「キャストの皆さんは本当に歌が上手いだけでなく、アカペラに対して情熱を持ってくれている。作品の中でのキャラクターの成長と、キャストの成長を重ね合わせて楽しめる作品を目指しました。」
特に、ボイスパーカッションを担当する花井美春さん(ウルル役)の才能には驚きを隠せません。「声優にボイスパーカッションの経験者がいるわけではないので、一種の賭けでしたが、彼女の持ち前のリズム感と耳の良さ、多種多様な才能が開花しました。」
キャラクターへの愛情と、アニメの新たな可能性
山中氏は、キャラクターの成長を安易に劇的に描くことを避け、「キャラクターのためを一番に考え、人間が可能な範囲で、理解できる速度で、コミュニケーションを主体に解決していく」ことを重視しました。
「アニメは、視聴者がフラットな視点で作品を受け取ってくれる可能性が高い。ゲームとは異なり、身内びいき的なものがなく、率直な感想を聞ける環境です。その中で、自然主義の『うたミル』がどう受け入れられるのか、とても興味深いです。」
『うたミル』は、アカペラという音楽の魅力を通して、少女たちの成長と葛藤を描いた作品です。山中氏のこだわりと、キャスト陣の努力が詰まった本作は、アニメファンだけでなく、アカペラに興味を持つ人にもおすすめです。
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