ヴァレンティノ、ミケーレによる挑発的なクチュールショー開催!「美」の価値を問いかける前代未聞の演出とは?
イタリア発のラグジュアリーブランド「ヴァレンティノ」が、アレッサンドロ・ミケーレによる2026年オートクチュールコレクションを発表。パリのテニスクラブドパリにて、過去の遺産と未来への展望が交錯する、挑発的でスペクタクルなショーが開催されました。
ショーの舞台は19世紀の「覗き見装置」!?
ショーの招待状は、メゾンのロゴとテーマである「SPECULAMUNDI(世界の鏡)」が刻まれた木箱に入った鈴という、ユニークなものでした。会場に足を踏み入れると、そこには左右にアルファベットが記された木製の円筒型巨大な箱が並び、その前に椅子が設置されています。まるで19世紀末に流行した「カイザーパノラマ」と呼ばれる装置を彷彿とさせる空間。
「カイザーパノラマ」は、集合光学機械として使用されていたもので、人々が過去の遺物を覗き込むための装置でした。ヴァレンティノはこの装置を、クチュールの「peepshow(覗き見ショー)」の舞台へと昇華させました。招待客は金属板を下げると、そこにはコンシェルジュが立っており、ショーを覗き込むように鑑賞するという、前代未聞の演出が展開されました。
現代社会への問いかけ:「私たちは本当に“見ている”のか?」
ミケーレは、現代社会における視覚過多の問題に焦点を当てています。コレクションノートには、「現代は視線とメディアへの過剰露出、そして急激な消費行動の同時性」に溢れていると記されており、ファッションの世界においても「みる」という行為が過多になっている現状を指摘。「歪んだ執着」の中で、我々は本当に何かを見ているのか?という問いを投げかけています。
ショーを通じて、ミケーレはクチュールの魔法を再認識させようとしています。強烈な視覚的刺激は、人々の欲望を掻き立て、クチュールの世界へと引き込む力を持つ。それは、現実を仮構に、非日常を日常へと変える、魔法のような体験なのです。
ガラヴァーニの遺産とミケーレの創造性
ショーに先立ち、ヴァレンティノの創設者ヴァレンティノ・ガラヴァーニが逝去。ミケーレは、ガラヴァーニが築き上げた「神話的」なメゾンと、その遺産である「美」の価値を深く理解しています。彼は、プレタポルテとオートクチュール、主体と客体といった二項対立の概念を等価交換し、異種混合の個性を生み出すことで、新たな「美」の価値を創造しています。
コレクションは、極限まで精緻を極めたドレスの数々で構成されています。フリル、ラメ、ビーズ、レース、刺繍など、最上級の素材と技術が惜しみなく投入され、まるで1930年代のハリウッド映画のような華やかさを放っています。ミケーレ自身も、母親である映画界出身の女性を想起させる、個人的な喜びと公的な提言が込められた作品群となっています。
ショーを通じて、ミケーレは現代に生きる女性の姿を表現しています。それは、肉感的な魅力だけでなく、気骨、粋、優美さ、そして何よりも「生」に溢れた女性像です。彼は、美の理念や概念を見失いつつある現代において、美そのものの危機を訴え、ヴァレンティノの伝統と自身の創造性を融合させることで、新たな「美」の価値を提示しました。
コメント一覧
まだコメントはありません。
← トップに戻る