日本の防災は“善意の混乱”に陥りやすい?危機対応スペシャリストが警鐘!
2024年1月1日に発生した能登半島地震。甚大な被害を受け、全国から支援の手が差し伸べられました。しかし、「善意の混乱」が起き、支援活動が遅れるケースも。危機対応のスペシャリストである秋冨慎司医師(金沢医科大学救急医学講座特任教授)は、日本の防災が“危機的状況”にあると警鐘を鳴らしています。
国難級災害への備えは十分か?
昨年12月、政府は首都直下型地震の被害想定と対策に関する報告書を公表し、「M7クラスの地震はいつ発生してもおかしくない」と指摘しました。2011年の東日本大震災では青森から千葉まで、南海トラフ地震では鹿児島から神奈川まで津波が押し寄せる可能性も…。“国難級災害”は決して他人事ではありません。
被災地で最も重要なこと「誰が、何をするのか」
能登半島地震で日本医師会からの派遣でJMAT(日本医師会災害医療チーム)活動を支援した秋冨医師は、石川県庁に設置された保健医療福祉調整本部で、まず「誰が、何をするのか」をシステム化することに取り組みました。
「支援に来たものの、『何をしたらいいのか…』と戸惑う人もいました。“誰が何をするのか”責任を明確にしないと、被災地・被災者支援が遅れてしまいます。それを避けたかったのです。」と秋冨医師は語ります。
災害時には、公的機関、民間団体、個人など、多くの支援者が被災地に集まります。「人助けをしたい」「自分にできることがあれば…」という善意や使命感は素晴らしいですが、それだけでは十分ではありません。“適材適所”に人材や技術を配置しなければ、善意は無駄になってしまうのです。
「統合運用(ユニファイドコマンド)」の重要性
では、誰が“適材適所”に人材や技術を配置するのでしょうか?その鍵となるのが「統合運用(ユニファイドコマンド)」です。災害が起こるたびに、秋冨医師はこの統合運用の重要性を訴えてきました。
その原点は、2005年に発生したJR福知山線脱線事故でした。外科医として現場に赴き、医療活動にあたる中で、統合運用の必要性を痛感したのです。
「クラッシュ症候群」から学ぶ教訓
「災害時の救出活動の問題の1つに、『クラッシュ症候群』というのがあります。これは、がれきなどの重いものに長時間挟まれていた人が、救出された直後に心停止に陥って亡くなるという状況です。」
秋冨医師は、統合運用を確立することで、このような悲劇を防ぐことができると訴えています。後編では、災害対応におけるITの活用について、宮川祥子さんの視点から詳しく解説します。
コメント一覧
まだコメントはありません。
← トップに戻る