欧州の原発縮小は「戦略ミス」EU委員長が認める、次世代原子炉の実用化へ
ヨーロッパ連合(EU)のフォンデアライエン委員長が、これまでヨーロッパで行われてきた原子力発電の縮小政策について、「戦略的なミスだった」と発言しました。エネルギー価格の高騰やエネルギー安全保障の重要性が増す中、EUが原子力政策を再評価する動きが加速しています。
原発縮小の経緯と現状
1990年代にはEUの電力の約3分の1を原子力発電が担っていましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに、ドイツをはじめとする国々で脱原発政策が進められました。その結果、現在は約15%程度まで原子力発電の割合が低下しています。
「戦略ミス」と認めるEU委員長
フォンデアライエン委員長は、パリ近郊で開催された原子力エネルギーに関する国際会議で、「信頼でき、手頃な価格で(温室効果ガスの)排出の少ない電力源に背を向けたことは、ヨーロッパにとって戦略的なミスだった」と述べました。これは、エネルギー危機と気候変動対策の両立という課題を抱えるEUにとって、原子力発電の重要性が再認識されたことを意味します。
次世代原子炉SMRへの期待
EUは、将来的にSMR(小型モジュール炉)と呼ばれる次世代原子炉を2030年代初めに実用化し、ヨーロッパを次世代原子力エネルギーの世界的拠点にすると表明しました。SMRは、従来の大型原子炉に比べて建設コストが低く、安全性が高いとされています。これにより、原子力発電の導入障壁を下げ、エネルギー供給の安定化を図ることが期待されています。
フランスの役割と電力輸出
フランスのマクロン大統領は、フランスが昨年、原子力を中心とした低炭素の電力を約2500万世帯が1年間に使う電力に相当する量を輸出したと説明しました。また、原発はAIのデータセンターなど電力需要の大きい新しい産業を支える重要な電源になると強調しました。EU内でも、フランスは原子力発電の重要な供給国としての役割を担っています。
脱炭素電源としての再評価
近年、再生可能エネルギーの拡大とともに、原子力発電を脱炭素電源として再評価する動きがEU全体で強まっています。エネルギー安全保障の確保と気候変動対策の両立を目指すEUにとって、原子力発電は不可欠な選択肢となりつつあります。