カシオ計算機が2024年11月に発売したAIペットロボット「Moflin（モフリン）」が、予想を上回る人気を集めています。その魅力は、ふわふわとした触り心地と、育て方によって育まれる400万通り以上の個性。さらに、2025年10月には米国と英国での販売も決定し、世界的な注目を集めています。

開発秘話：女性社員の「小動物の愛おしさ」から生まれたAIペット

モフリンの開発は、これまで男性向け商品が中心だったカシオが、女性向け製品の開発を目指したことから始まりました。小動物の愛おしさを研究していた女性社員が、自社の技術を活かせる製品としてAIペットロボットを提案。メンタルヘルスへの関心の高まりも追い風となり、開発がスタートしました。

メンタルヘルス向けAIの世界市場は、2022年に1200億円、2027年には5800億円に拡大すると予測されています。中山夢氏によると、「発案者自身も日常的なメンタル疲労を感じており、女性を癒やすメンタルケアを目的としたAIペットロボの開発に着手しました」とのことです。

“生き物らしさ”へのこだわり：モフモフな触り心地と自然な動き

モフリンの最大の特徴は、その“生き物らしさ”です。モフモフとした毛並み、丸いお尻のフォルム、手のひらに収まるコンパクトなサイズ感など、小動物のかわいらしさを徹底的に再現。さらに、呼吸をしているかのような自然な動きも特徴です。

小型化技術は、カシオが得意とする時計や電卓の開発で培ったノウハウが活かされています。競合製品との差別化を図るため、モフリンは感情表現に特化したAIを搭載し、ユーザーとのインタラクションを通じて独自の個性を育んでいきます。

AIペット市場の競争激化：LOVOT、NICOBOとの比較

AIペット市場は、GROOVEX社の「LOVOT（らぼっと）」や、パナソニックの「NICOBO（ニコボ）」など、競合製品も登場し競争が激化しています。LOVOTは高価格帯で、NICOBOはクラウドファンディングで話題となりました。

モフリンは、比較的リーズナブルな価格設定（希望小売価格：5万9400円）でありながら、“生き物らしさ”に特化したことで、幅広い層からの支持を集めています。今後のAIペット市場の動向に注目が集まります。