トランプ政権以降のポップシーンの変化:アディソン・レイが示す“キャラクターとナラティブ”の時代
第二次トランプ政権の発足は、アメリカ発のポップカルチャー、特にポップ音楽に大きな影響を与えました。2024年のクィア・ポップの隆盛を覆すかのように、性別の定義が法律で厳格化される動きも見られます。
2025年の音楽シーン:多様性と冒険の兆し
ローリングストーン誌(RS)の年間アルバム・チャートを分析すると、2025年の音楽シーンは多様性と冒険を求める傾向が強まっていることがわかります。リード文には「音楽はこれまで以上に奇妙でワイルドなかたちへと変異し続けた」とあり、アーティストたちは過去の成功に固執せず、新たな挑戦を続けていることが伺えます。
特に目立つのは、アンダーグラウンド寄りの作品がチャートインしている点です。ヒップホップやインディ・ロックなど、これまで以上に幅広いジャンルの作品が評価されています。
メインストリームの停滞と新たな中心地の出現
一方で、メインストリーム・ポップは停滞気味で、従来のビルボード・チャートをチェックする頻度も減っているという意見もあります。これは、北米圏/英語圏がポップ音楽の中心地だった時代が終わりつつあることを示唆しているのかもしれません。
RSチャートのトップ3には、プエルトリコのバッド・バニーの『DeBÍTiRARMáSFOToS』とスペインのロザリアの『LUX』がランクインしており、英語圏のアーティストが中心だった時代からの変化を明確に示しています。
レディー・ガガの挑戦と保守化するアメリカン・ポップ
第2位にランクインしたレディー・ガガの『MAYHEM』は、音楽的な洗練度やキャリアの集大成として評価されていますが、その情報量の多さから戸惑う声も上がっています。これは、アメリカン・ポップが保守化する中で、ガガが挑戦を続ける姿を象徴しているとも言えるでしょう。
しかし、ディジョンの『Baby』、ギースの『GettingKilled』、クリプス16年ぶりのアルバム『LetGodSortEmOut』といった作品は、R&B、インディ、ヒップホップそれぞれのジャンルを代表する作品として高く評価されています。
グローバルな視点と新たなトレンド
今年は英国音楽の復活も見られ、グローバルな視点から音楽シーンを捉える重要性が増しています。アメリカ以外のアーティストが新たなトレンドを生み出しており、ロザリアはその代表例と言えるでしょう。
サブリナ・カーペンターのように、保守性をアイロニカルに操るアーティストも登場し、ポップシーンに新たな風を吹き込んでいます。彼女の楽曲「Manchild」は、共和党政権下のアメリカ社会を反映した作品として注目されています。
「馬鹿なのに何故こんなにセクシーなの?」という歌詞は、有害な男性性を告発する時代が終わり、新たな視点が必要になっていることを示唆しているのかもしれません。
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