なぜ私たちは「筋トレ」や「整形」にハマるのか?現代社会の病理を解き明かす一冊が話題
「頑張っているのに苦しい」その正体は、私たちが巻き込まれている「象徴」にある
SNSで流れてくる美しい体、美容医療の広告、そして「自分磨き」という言葉。私たちは日々、科学や論理に基づいて合理的に生きているつもりですが、本当にそうでしょうか?人類学者の磯野真穂さんは新著
「能力資本主義」が私たちをモノ化し、疎外感を生んでいる
磯野さんは、現代社会を「強グリッド社会」、つまり「能力資本主義」の社会だと分析します。そこでは才能や努力がすべてとされ、個人の自由が強調されますが、実際には競争が激化し、多くの人が人間としての手応えを感じられず、疎外感や孤独感を抱えています。この「強グリッド社会」で、私たちは自分を磨き上げるために必死になります。美容整形や筋トレは、単なる美の追求ではなく、この厳しい社会で生き残るための「自己研鑽」という象徴的な行為なのです。一方で、「ゆるさ」や「あるがまま」を大切にするボディポジティブのような動きも、実は同じく「自己礼賛」という枠組みの中にあります。
善き社会を作るために、私たちが今できること
本書の最後には、ドキリとさせられる問いかけがあります。「善き社会を作りたいのなら、自らがどのような象徴に巻き込まれているかを内省しよう」。私たちは自分が論理的だと思い込んでいますが、実は社会が作り上げた「象徴」に操られているのかもしれません。現代社会特有の「生きづらさ」の正体を知ることは、私たちが自分らしく、そして「社会が壊れる前」にどう生きていくかを考えるための第一歩になります。なんとなく感じる孤独や焦燥感の正体を知りたい人は、ぜひ手に取ってみてください。