日田彦山線、正式廃止へ…BRTは好調も「東峰村の駅」利用低迷の裏側
1世紀以上の歴史を閉じるJR日田彦山線。2017年の豪雨災害で不通となった添田駅~夜明駅間(29.2km)が、ついに鉄道路線として廃止されます。代替となるBRT「ひこぼしライン」は好調に見えますが、実は福岡県東峰村の駅の利用が伸び悩んでいるという問題が浮上しています。
10年間の運休とBRTへの転換
日田彦山線は、2017年の九州北部豪雨による甚大な被害を受け、一部区間が不通となりました。その後、鉄道の復旧は断念され、2023年8月にはBRT「ひこぼしライン」が開業。鉄道に代わる公共交通機関として、現在も運行を続けています。JR九州は今回の廃止手続きについて「BRTひこぼしラインの運行ダイヤ、運賃、サービス内容等に一切の変更はございません」と説明しており、BRTの運行は今後も継続されます。
BRTは好調、でも…東峰村の駅だけが苦戦
BRTひこぼしラインの利用状況は、概ね好調です。2025年現在の1日利用者は270人、累積利用者数は20万人を突破。鉄道時代(2016年度)の1日平均利用者数131人から増加し、1kmあたりの利用数も上回っています。運行本数の増加や停留所の新設が、利用者増加の要因として挙げられます。
しかし、東峰村内の駅の利用状況は芳しくありません。添田駅や日田駅が1日60人以上の利用者を集める一方で、東峰村内の筑前岩屋、大行司、宝珠山の3駅を合計しても、利用者は30人以下にとどまっています。
「使いづらさ」が利用低迷の要因
東峰村の駅の利用が伸び悩む最大の理由は、「アクセスしづらさ」です。特に大行司駅は、駅舎からホームまで高低差15m、70段以上の石段を登る必要があり、5分~10分前には駅舎に到着する必要があります。周辺には商店街や旧村役場(現在は支所)があるものの、BRTのルートは鉄道時代と異なり、高校や病院を経由するため、日常的な利用には不便が生じています。
宝珠山駅も、集落から大肥川を越えた場所に位置しており、利用者は1日9人と非常に少ない状況です。筑前岩屋駅が最も利用されていますが、それでも利用状況は低迷しています。
鉄道へのこだわりが招いた「負の遺産」?
実は、東峰村は日田彦山線の鉄道復旧に強く反対していました。村は「鉄道が走る風景に愛着や誇りを持っている」「JR九州が災害前の状態に復旧するのが本来の形」と主張し、鉄道廃止には断固反対。最終的に「鉄道ルートの専用道化」で妥協しましたが、その結果、不便なバス専用道ルートでの復活となり、駅のアクセスが悪化してしまったのです。
もし、当初検討されていた「一般道経由」であれば、役場や商店街へのアクセスも容易になり、大行司駅の高低差問題も解消できた可能性があります。しかし、鉄道への強いこだわりが、結果的にBRTの利用低迷を招いたとも言えるでしょう。
1億円のスロープカー?東峰村の対策と課題
東峰村は、駅の利便性向上を目指し、「東峰村地域公共交通利便増進実施計画」に取り組んでいます。大行司駅には1億円を超える予算を投じてスロープカー(斜行エレベーター)の設置を計画。筑前岩屋駅にはヤマメの養殖施設、宝珠山駅にはキッズルームやカフェの設置も検討されています。
しかし、利用低迷の一因である「高台の駅舎を残した理由」「人里離れた専用道にルートを設定してしまったのか」という根本的な議論は、置き去りにされているのが現状です。鉄道復旧費用を負担せず、不便なバス専用道を選んだ結果、駅の利用促進のために多額の費用を投じるという、「負の遺産」とも言える状況が生まれています。
BRTひこぼしラインの今後の発展のためには、東峰村が「わざわざ不便な駅」の利用促進を率先して行い、地域住民が日常的に利用できる代替交通手段を確立することが不可欠です。日田彦山線の代替を担うBRTが、地域に根ざした交通機関として成長していくためには、課題解決に向けた積極的な取り組みが求められます。
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