ネット都市伝説が映画化!『バックルームズ』が描く、逃げ場のない「リミナルスペース」の正体とは
今、若い世代を中心にSNSで熱狂的な支持を集めている映画をご存知でしょうか。その名は『バックルームズ』。インターネットの掲示板から生まれた都市伝説(ミーム)を題材にした本作は、公開されるやいなや、その独特な世界観で観客を不思議な恐怖へと誘っています。
ただのホラーじゃない?「リミナルスペース」が持つ独特の違和感
本作を一言で表すなら「不思議な感覚の恐怖映画」。悪霊やブギーマンが出てくるような、いわゆる王道のホラーとは一線を画しています。物語の舞台となるのは、主人公の大型家具店オーナー・クラークが、ある日偶然見つけてしまった「壁の向こう側」。そこには「バックルームズ」と呼ばれる、黄色い壁紙がどこまでも続く迷路のような空間が広がっていました。
ここでの恐怖の正体は、「リミナルスペース」という概念にあります。これは、境界線が曖昧になった不気味で空虚な場所を指す言葉です。誰もいないのに誰かの気配を感じる、見慣れたはずの場所が急に異質なものに見えてくる……。そんな「現実との違和感」が、観る者の正気を徐々に削り取っていくような、新しい恐怖体験が待っています。
なぜ私たちは「存在しないはずの場所」に魅入られてしまうのか
劇中では、主人公のクラークだけでなく、彼をカウンセリングする精神科医のメアリーまでが、この謎の空間に没入し、魅入られていきます。現実世界とは隔絶された空間に閉じ込められることは、一見すると恐ろしいことのように思えます。しかし、私たちは心のどこかで「この世から消失したい」「日常から離れたい」という願望を抱いているのかもしれません。
まるで、ゲームの目的を忘れてダンジョンの隅々まで歩き回り、そこに留まりたくなるような感覚――。本作は、観る人それぞれの深層心理を揺さぶる作品と言えるでしょう。物語の結末や、彼らがどう変容していくのかは、ぜひ劇場で目撃してください。観終わった後、きっとあなたの日常の見え方も少し変わってしまうはずです。
『バックルームズ』は現在、TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開中です。詳細は公式サイト(