蜷川実花が明かす「創作の原点」。川口市立美術館の開館記念展『はじまりの光』が深すぎる
鮮やかな色彩をあえて手放した?蜷川実花が挑む「家族の記憶」との対峙
世界的な写真家・映画監督として活躍する蜷川実花さんが、自身のクリエイティブの原点を見つめ直す注目の展覧会「蜷川実花展はじまりの光」が、9月12日にオープンする「川口市立美術館」にて開幕します。父・蜷川幸雄氏の故郷であり、自身も幼少期を過ごした埼玉県川口市。この思い出の地で、彼女はこれまであえて深く掘り下げてこなかった「家族の記憶」と正面から向き合いました。代名詞である鮮烈な色彩をあえて抑え、モノクロームの表現を取り入れた今回の展示は、ファンならずとも必見の新境地といえるでしょう。
現実と虚構が混ざり合う、エネルギッシュな川口の風景
蜷川さんが5歳頃まで過ごした川口は、彼女の作風の根底にある「現実と虚構が曖昧になる感覚」を育んだ場所でした。特に印象深いのは、おかめ市(酉の市)で見た猥雑でエネルギッシュな街の風景。今回、展示の序盤を飾るのは、自身で海に潜って撮影したモノクロの水中写真シリーズです。生と死が隣り合わせの海を捉えたこれらの作品からは、従来の「蜷川実花=カラフル」というイメージを覆すような、静謐で鋭い感性が伝わってきます。「色彩を手放しても、自分の伝えたい核の部分は届くはず」という彼女の決意が、今回の展示には色濃く反映されています。
川口の新たな文化拠点へ。会期は11月29日まで
今回の会場となる