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【あの頃の相棒】止まった腕時計が僕らに告げる、新たな時代の幕開けと「時間」の価値

投稿日:2025年12月05日

夜、書斎の机にふと目をやると、そこに置かれた腕時計が午前11時40分を指していました。不思議に思い、壁掛け時計を見上げると、すでに日付が変わって午前0時を回っています。――あれ、時計の針が止まっている。
最近はすっかりスマートウォッチが僕の左腕の定位置。散らかった机の片隅に埋もれたこの腕時計とは、しばらく目を合わせることもありませんでした。

僕らの人生を刻んだ「時」の相棒

この腕時計は、社会人になってすぐに買ったものです。若手アナウンサーだった頃、本番前の高まる緊張をよそに、刻一刻と出番が迫る時間を淡々と知らせてくれました。記者として深夜まで取材に駆け回った日も、「いつになったら相手は現れるんだろう?」と何度も文字盤に目を落としたものです。
そして、娘が生まれたあの日。分娩室に響いた産声とともに、親としての新しい「時」の始まりを静かに告げてくれたのも、この腕時計でした。何気ない日常も、人生の大きな節目も、少しひんやりとして心地よい重さの“相棒”とは、いつも一緒だったんです。

スマートウォッチ時代の置き去りにされた時間

スマートウォッチにその役目を譲ってからも、きっと黙って時を刻み続けていたのでしょう。でも、一体いつから電池が切れていたのか、僕には全く分かりません。ほんの数十分前だったのか、今日の昼前だったのか、いや、もしかしたらもっとずっと前から――。
そう思うと、胸の奥がチクリと痛みました。大切なものが、いつの間にか止まっていた喪失感。現代の忙しさの中で、僕たちは大切な時間の流れを見失っているのかもしれません。

季節は巡る、でも「時代」は?

週末、電池を入れ替えようと、街の時計店へ向かいました。数か月前まで夏の強い日差しを遮っていた緑の街路樹は、すっかり黄色く色づき、晩秋の街を彩っています。澄み切った秋空から降り注ぐ光を受けたイチョウの葉は、一段とつやを増し、歩道を横切る小さなつむじ風が、落ち葉をふわりと舞い上げます。
足元で、踏むたびにくしゃりと鳴る赤茶色の落ち葉の乾いた音は、秋の情緒をより一層感じさせました。
コートの襟を立て、クリスマス飾りがきらめくショーウィンドーの前を通り過ぎるたびに、「暑い」「寒い」と言いながらも、季節はきちんと巡ってきていることを実感します。でも、今の“時代”は、果たしてきちんと時を刻んでいるのでしょうか?

時計の針が逆回転?激動の現代社会

今年1月、アメリカではドナルド・トランプ大統領が就任し、まるで時計の針が逆回転したかのように、19世紀のアメリカが掲げた高関税政策や保護主義が再び前面に現れました。国内では、当時の首相だった石破茂氏が参議院選挙で大敗し、就任からわずか1年あまりで退陣。少数与党という厳しい状況の中で調整に追われ、政権が思い描くように時間を進めることはできませんでした。
個人的な時間の流れと、世界の大きな時間の流れ。止まった腕時計は、そんな激動の時代の中で、僕たちに何かを問いかけているのかもしれません。

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