ガザの影に潜む新勢力「ラダア」とは?ハマスが仕掛ける“恐怖の治安作戦”と市民の叫び
ガザに広がる新たな波紋:停戦の裏で進行する現実
トランプ米大統領が提案した和平案の第1段階が発効し、ガザ地区に一時的な安堵が訪れるかと思いきや、現実はまったく異なる方向へと進んでいました。停戦合意で歓喜に沸いたのも束の間、ハマスによる内部粛清が始まり、ガザの住民たちは新たな恐怖に怯えています。
特に注目すべきは、和平交渉で求められる「武装解除」の陰で密かに武器収集を進めるハマスと、それを黙認するイスラエルの思惑、そしてその中で取り残されていくガザ市民の悲痛な声です。
謎の新治安部隊「ラダア」の正体
その中心にあるのが、今年6月下旬(26日)にひっそりと発足したハマスの新特別部隊「ラダア(Radaa)」です。その実態はほとんど報じられていませんが、任務は「無秩序の抑制、泥棒や強盗、スパイ、道徳的および治安上の犯罪に関与した者の追跡」だと宣言されています。
一体この「ラダア」とはどんな組織なのでしょうか?私たちはその真実に迫るべく、独自にテレグラムアカウントを徹底的に調査しました。
テレグラムが暴く「ラダア」の実態:スパイ摘発と裏切り者への警告
設立と同時期に作られたとみられる「ラダア」のテレグラムアカウントをフォローすると、ガザ内部のスパイや協力者への容赦ない警告が頻繁に投稿されていることが判明しました。設立日には、こんなメッセージが発信されています。
「ラダア部隊の結成—現地での犯罪集団追跡のため。我々”ラダア”は、抵抗の治安に属する我々の専従現地部隊の公式任務開始をここに発表する。我々は、尊敬する我が国民に対し、現地部隊への全面的な協力を強く要請する。犯罪者をかくまうことなく、この国家的任務の成功に貢献してほしい」
市民に協力を求めつつも、その裏には強大な支配力を感じさせる内容です。
反ハマス勢力との衝突:アブ・シャバブ氏を巡る動き
ラダアは設立からわずか数日後(6月28日)、早くも本格的な作戦を展開します。ターゲットとなったのは、ハマスの強権支配に反対してきたヤセル・アブ・シャバブ氏率いる民兵組織。彼はラファやエジプトのシナイ半島との国境地帯を拠点に活動し、麻薬流通にも関与していたとされます。さらに、イスラエル側から武器供与を受けていた可能性も報じられていますが、アブ・シャバブ氏側はこれを否定し、「我々の目標はハマスからパレスチナ人を守ることだ」と主張しています。停戦合意以前からハマスはこの民兵組織への攻撃を強めており、ラダアの登場でこの「治安維持作戦」が一気に本格化した形です。
イスラエル撤退後の「隙」を突くハマスの支配強化
トランプ和平案による停戦合意後、イスラエル軍が部分的に撤退し始めると、その空白を埋めるようにハマスはガザでの支配を急速に強化し始めました。ラダアのテレグラムには、まるで恐怖を煽るかのように、以下のような通告が頻繁に投下されています。
「北から南まで、この瞬間もラダアの手が裏切りと協力の巣を打ち続けている(10月11日)」
「ガザ各地区で大規模な治安作戦を実施し、多数の協力者や法を逸脱した要員の逮捕に至った。国内戦線の安全を乱す者に対しては鉄の拳による打撃が加えられるだろう(10月14日)」
これらのメッセージは、「裏切り者には容赦しない」というハマスの強い姿勢を示すものであり、市民の間にさらなる緊張と不安をもたらしています。
「武装解除」と「武器収集」の矛盾:取り残されるガザ市民
国際社会が「武装解除」を求める中で、ハマスは密かに武器収集に奔走し、一方で新治安部隊ラダアを通じて内部の引き締めと粛清を進めています。この矛盾した動きの陰で、ガザ市民は「破壊される前のガザは二度と戻ってこない」という現実を突きつけられ、先の見えない恐怖と絶望の中にいます。和平交渉が叫ばれる一方で、ガザ内部では着々とハマスによる支配が強化され、市民の声はかき消されているのが現状です。
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