まるで歴史探偵!『出雲国風土記』写本調査の裏側と「人の縁」に迫る!
数百年の時を超え、写本が語り出す歴史の真実とは?
皆さんは「出雲国風土記(いずものくにふどき)」をご存知ですか?これは約1300年前、奈良時代に現在の島根県東部の地理や産物、地名の由来などが記された、とっても貴重な歴史書なんです。
この出雲国風土記には、なんと200冊以上もの「写本(しゃほん)」と呼ばれる手書きのコピーが現存しているって知っていましたか?
今回ご紹介する髙橋周さんの新刊『近世写本文化論―出雲国風土記を書写した人々』は、これらの膨大な写本を徹底的に調査し、秘められた歴史のドラマを解き明かした一冊。
まさに歴史のミステリーを紐解く、知的好奇心を刺激される内容なんです!
気が遠くなるような作業!?「全文比較」で解き明かす写本の系譜
「写本なんて全部同じでしょ?」と思うかもしれませんが、実はそうじゃないんです。
一見同じに見える写本でも、ちょっとした違い(異同)がたくさんあるのが普通。
髙橋さんは、その一つ一つの違いを見つけ出すために、なんと全ての写本を「全文比較」するという、想像を絶する作業に挑みました。
例えば、ある写本は1000行以上、1行に18文字前後もあるので、1冊で約18000字!それを200冊以上…と考えると、途方もない作業ですよね。
この地道で根気のいる写本調査の結果、ウェブサイトで公開されている「校異表」こそが本書の肝。
この校異表によって、写本同士がどのようにコピーされ、誰の手に渡っていったのか、その歴史的背景が驚くほど鮮明に見えてくるんです。
あの有名な国学者、賀茂真淵(かもまぶち)がどの写本を親本にしたかなど、まるで歴史探偵になったような気分で、写本の系譜を辿れるのが本当に面白いポイントです。
調査はまさに人間ドラマ!「人の縁」が紡ぐ写本探求の旅
こんな壮大な写本調査、一体どうやって実現したの?と思いますよね。
髙橋さん自身が「おわりに」で語るように、この研究はまさに「人の縁」がなければ成り立たなかった、人間ドラマの結晶なんです。
きっかけは、ある個人所蔵者の方からの質問。
その疑問に答えるため、最初は影印(写真コピー)から始めた調査は、やがて全国各地の図書館や博物館、さらには個人宅や会社まで、実物の写本を確認する旅へと広がっていきました。
当時は今のようにインターネットで簡単に見られる時代ではなかったため、現地へ足を運んだり、図書館に複写依頼をしたりと、多くの人々の協力が不可欠でした。
「図書館って、研究者じゃないと使いづらい?」と思う人もいるかもしれませんが、実は地元の公共図書館を通じて紹介状を書いてもらうなど、さまざまなサポートを受けられるそうです。
最新の国書データベースはもちろん、オークションサイトまであらゆる情報源を駆使し、写本を探し出す髙橋さんの情熱には脱帽です!
デジタルが進んだ現代でも、写本を伝え、それを調べ、研究するのも、最終的には「人」なんだというメッセージは、私たちの心にも響くのではないでしょうか。
まとめ:あなたの知らない「写本研究」の世界へ!
『近世写本文化論―出雲国風土記を書写した人々』は、単なる歴史研究書ではありません。
気が遠くなるような地道な作業、知られざる写本の系譜、そして多くの人との出会いと協力…その全てが詰まった、歴史のロマンと研究者の情熱を感じられる一冊です。
普段あまり歴史書を読まない方でも、髙橋さんの熱意と、まるでミステリーを解き明かすかのような写本調査の舞台裏を知れば、きっと引き込まれるはず。
2025年11月14日発売予定なので、ぜひこの機会に、出雲国風土記の奥深い世界に触れてみませんか?
コメント一覧
まだコメントはありません。
← トップに戻る