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まるでタイムカプセル!『出雲国風土記』200冊の写本から見えてくる、人々の絆と歴史の物語

投稿日:2025年11月28日

,文化,学術

古代のロマン『出雲国風土記』が、まさかのミステリー小説に!?

『出雲国風土記(いずものくにふどき)』という言葉、聞いたことありますか?古代出雲の豊かな歴史や地理、地名の由来などを記した地誌で、「出雲大社」などでおなじみの地域を舞台にした、まさにロマンあふれる書物です。
そんな古代の重要文献に、とんでもないアプローチで挑んだ新刊が発売されます!

今回ご紹介するのは、髙橋周(たかはししゅう)さんの新刊『近世写本文化論:出雲国風土記を書写した人々』。この本では、現存する200冊を超える『出雲国風土記』の写本を徹底的に調査。一見地味に見える写本調査が、まるでミステリーを解き明かすような興奮と、人との温かい縁に満ちていたことが分かる、読み応え抜群の一冊なんです。

200冊を『全文比較』!地道な作業から歴史の相関図が浮かび上がる

この本の研究がスゴいのは、200冊以上ある写本の「全文」を、なんと1冊あたり18,000字という膨大な量で徹底的に比較している点にあります。
なぜ「全文」なのか?それは、部分的な比較では見落としてしまう、写本ごとの微妙な違い(異同)こそが、写本がどう伝えられてきたか、その系譜を明らかにするヒントになるからなんです。

例えば、ある写本と別の写本に共通する異同が見つかると、それらが同じ親本から書き写された可能性が見えてきます。さらに調査を進めると、あの有名な国学者賀茂真淵(かものまぶち)ゆかりの写本が、京都の公家の写本に由来していることが分かったり、会津藩の人物まで、写本のネットワークがまるで人間関係図のように浮かび上がってくるんです。これはもう、歴史版の「相関図」ですよね!
膨大な文字データと向き合うことで、「誰が、いつ、どこで、どんな写本を見て書き写したのか」という、まるでタイムカプセルを開けるような発見が次々と生まれる。その調査結果の「校異表」はウェブサイトで公開されているので、興味のある人はぜひチェックしてみてください!

写本調査は「人の縁」が支える壮大なストーリー!

この地道で壮大な写本調査、実は一人の郷原さんとの出会いから始まったんだとか。最初の質問に答えるために始めた研究が、多くの写本との出会いを呼び、結果としてこの本にまとまったというから驚きです。

調査の過程では、図書館や博物館はもちろん、個人宅や会社まで足を運び、多くの協力者のおかげで調査が進められたそうです。高額な複写料がかかることもあったり、紹介状が必要な図書館もあったりと、決して簡単ではなかった道のり。
でも、そんな時にも地域の公共図書館がサポートしてくれたりと、「人とのつながり」が研究を支えてきたことがひしひしと伝わってきます。著者はインターネットのオークションサイトまでチェックするなど、常に情報アンテナを高く張っていたそうですよ!
そして何より、写本を大切に伝え、守ってきた人々、そしてそれを調べ研究する人々、その「人」の存在が、この歴史研究を未来へつないでいるんですね。

古代のメッセージを現代に!歴史のロマンを感じる一冊

髙橋周さん『近世写本文化論』は、単なる歴史書ではありません。数百年にわたる写本の旅路を追いかけ、そこに携わった人々の息遣いを感じられる、まるで壮大な人間ドラマのような一冊です。

この本を読めば、『出雲国風土記』という古代のテキストが、現代に生きる私たちに何を伝えようとしているのか、その奥深いメッセージをきっと感じ取れるはず。
歴史や文化、そして人とのつながりに興味がある方は、ぜひ手に取ってみてください!

【著者プロフィール】髙橋周(たかはししゅう)さん
1975年東京都あきる野市生まれ。
1998年奈良大学文学部史学科卒業、2003年学習院大学人文科学研究科史学専攻博士後期課程単位取得退学。現在、出雲市文化財課・出雲弥生の森博物館専門研究員としてご活躍されています。学習院大学博士(史学)。
主な著作に『近世写本文化論—出雲国風土記を書写した人々—』(八木書店、2025年)などがあります。

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