幻のフェアレディZ、マルチェロ・ガンディーニがデザインした「AP-X」とは?
1993年の東京モーターショーに出品された、日産のスポーツカーコンセプト「AP-X」。もしこのクルマが市販されていたら、フェアレディZの歴史は大きく変わっていたかもしれません。今回は、ランボルギーニ・カウンタックなどの名車を手がけたイタリアの巨匠、マルチェロ・ガンディーニがデザインした、幻のフェアレディZ「AP-X」に迫ります。
AP-X誕生の背景
バブル経済が崩壊した後の1993年、東京モーターショーは依然としてコンセプトカーが華を咲かせる場でした。その中で発表されたAP-Xは、「日産の21世紀のサルーンカーのフィロソフィを体現するクルマ」として注目を集めました。流麗なスタイルと先進的なテクノロジーは、多くの人々を魅了しました。
AP-Xのスペックとデザイン
AP-Xのボディサイズは、全長4435mm、全幅1800mm、全高1220mm、ホイールベース2570mm。搭載エンジンは「VQ-X」とされ、サスペンションは前後マルチリンク式を採用していました。ベースとなったのは、当時の4代目フェアレディZ(Z32型)の2by2モデルであると考えられています。
Z32フェアレディZ2by2は、使い勝手の良さから人気がありましたが、スタイリッシュな2シーターモデルに比べると、やや間延びした印象がありました。そこで、日産はガンディーニにデザインを依頼。リヤフェンダーの上部を斜めに処理するなど、ガンディーニならではの個性がAP-Xに吹き込まれました。
ガンディーニの代表作とAP-X
マルチェロ・ガンディーニは、ランボルギーニ・ミウラ、カウンタック、ランチア・ストラトス、シトロエンBXなど、数々の名車をデザインした伝説的なカーデザイナーです。彼の代表作であるランチア・ストラトスとAP-Xを見比べてみると、共通するデザイン要素が見て取れます。
1981年にはマツダ・ルーチェの試作車をデザインしていますが、1990年代に日産がガンディーニにデザインを依頼した理由はいまとなっては不明です。しかし、AP-Xはガンディーニの才能が光る、フェアレディZの新たな可能性を示唆する一台だったと言えるでしょう。
もしAP-Xが市販されていたら、フェアレディZの歴史は大きく変わっていたかもしれません。幻のコンセプトカー「AP-X」は、今もなお多くの自動車ファンを魅了し続けています。