うどん県香川にラーメン学校!?製麺機メーカーが業界に革命を起こす“逆転の発想”とは
「うどん大国」として知られる香川県に、なんとラーメン学校があるのをご存知ですか?この意外な取り組みの裏には、製麺機メーカーの一代で日本を代表する経営者、藤井薫さんの逆転の発想がありました。今回は、その苦難の道のりと、業界に革命を起こした藤井さんの考え方について深掘りします。
うどんからラーメンへ。きっかけは顧客の声
藤井さんが創業した「大和製作所」は、もともとうどんの製麺機からスタートしました。香川県で研究を重ね、九州へと販路を広げ、徐々に軌道に乗せていった矢先、想定外の声が届きます。「うどんだけじゃない。ラーメンの機械も必要だ」という顧客からの要望です。
地域によって求められるものは異なる。藤井さんはその声を受け、ラーメン用の製麺機を開発。さらに関東に進出すると、「そばがなければ通用しない」と言われ、今度はゼロからそば文化を学び、製麺機を作り上げました。お客さんに言われたら、何でもやるという柔軟な姿勢が、事業を大きく広げていったのです。
「武器だけではダメ」成功の鍵は“戦い方”を教えること
製麺機は売れるものの、導入した店の中には成功する店と失敗する店がありました。その差はどこにあるのか?藤井さんがたどり着いた結論は、「武器だけを与えてもダメなんです。戦い方を教えないと」というシンプルなものでした。
機械はあくまで道具に過ぎず、麺の打ち方、だしの取り方、経営ノウハウなど、店を繁盛させるためには総合的な知識が必要だと考えたのです。
セブンイレブンの考え方に衝撃!「生業支援」という使命
転機となったのは、コンビニ大手セブンイレブンの考え方でした。知人を通じて、セブンイレブンは「物を売る会社」ではなく「生業支援会社」だと知らされたのです。時代の変化で消えゆく個人商店を支え、成り立つ仕組みを作る。それがセブンイレブンの使命でした。
この言葉に衝撃を受けた藤井さんは、自社のあり方を見直しました。「製麺機メーカーではなく、麺専門店の繁盛を支援する会社になるべきだ」と宣言し、その理念を実行に移すべく動き出したのです。
365日メンテナンスの挑戦と、業界トップのシェア獲得
まず、藤井さんが打ち出したのは、前例のない「365日メンテナンス」という取り組みでした。飲食店は土日祝日こそ忙しい。ならば、その時こそ機械を支えるべきだという考えです。しかし、社員からは猛反発があり、実際に退職者も出ました。それでも藤井さんは方針を曲げませんでした。
結果は明確でした。休日に駆けつけるメンテナンスに店側は強い信頼を寄せ、修理に出向いたエンジニアが食事を振る舞われることも珍しくありませんでした。その積み重ねが評価され、同社は業界トップのシェアを獲得するに至ったのです。
「成功する方法そのものを教える」大和麺学校の誕生
そして藤井さんは、もう一つの結論にたどり着きます。「機械だけでなく、成功する方法そのものを教えるべきだ」。こうして誕生したのが「大和麺学校」でした。
当初はうどん学校からスタートしましたが、やがてラーメン学校も開設。香川でラーメンという意外性のあるチャレンジでしたが、そこには明確な理由がありました。ラーメンは、うどんやそばと比べて自由度が高く、スープ、麺、具材の組み合わせで無限のバリエーションが生まれます。さらに製麺機やセントラルキッチンを活用することで、味の再現性が高く、ビジネスとして拡張しやすいというメリットがあるのです。