本屋大賞受賞!朝井リョウ氏「イン・ザ・メガチャーチ」が描く、推し活の光と影
2026年本屋大賞を受賞した朝井リョウ氏(36)。授賞式で、ラベンダー色に染め直した髪で現れた朝井氏は、「もっと自由でいいと言われた気がする」と喜びを語りました。受賞作「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)は、現代社会の現象である「推し活」が、過度な消費行動や陰謀論と結びつく姿を鮮烈に描いた作品です。
「気持ちの良い作品ではない」それでも選ばれた理由
朝井リョウ氏は自らの作品を「読んで気持ちの良くなる作品ではない」と語ります。しかし、その過激なテーマと現代社会への鋭い視点が、読者の心を掴み、本屋大賞の選考委員たちを魅了しました。小説は、アイドルや俳優を応援する「推し活」が、時に破滅的な結果を招く可能性を示唆し、その中心には「物語」の持つ力があることを浮き彫りにしています。
コロナ禍から生まれた問題意識
「イン・ザ・メガチャーチ」の構想は、新型コロナウイルス禍のさなかから生まれました。社会全体が消費を控える中で、「推し活」だけが異常なまでに拡大している状況に疑問を感じた朝井氏は、あるノーベル賞作家の「物語は善に向かう力」という言葉に疑問を抱き、物語が人間の視野を狭め、異様な行動力を生み出す様を描き出すことを決意しました。
普遍的な人間の構造を見つめる作家
デビュー作から一貫して、人間の本質に迫る作品を執筆してきた朝井リョウ氏。今回の受賞作も、「時代の標本を作りたい」という作家としての原点に立ち返った作品と言えるでしょう。同時に、「同盟を組んだり嘘を流したりする人間の行動は、実は普遍的な構造を持っている」と指摘し、社会現象の裏に潜む人間の本質を見抜いています。
偏りを恐れない、自由な創作活動
朝井リョウ氏は、「私の作品は人によっては不適切に感じるかもしれないが、たった一人で書く小説は偏りがあってこそでは」と語り、これからも偏りを恐れず、自由に創作活動を続けていく決意を表明しました。今後の作品にも、大きな期待が寄せられています。