「推し」の力で広告業界を改革!応援広告が創る新しい経済圏
「推し」への熱い想いが、広告ビジネスの常識を覆し始めている。ファンが自ら資金を出し、駅や街に広告を掲出する「応援広告」。この新しい仕組みを日本で事業として成功させ、大きなマーケットへと成長させたのが、ジェイアール東日本企画(jeki)の河原千紘氏だ。
広告主は企業からファンへ!「CheeringAD」誕生秘話
これまで広告主といえば企業が中心だった。しかし、河原氏が手がける「CheeringAD(チアリングアド)」は、まるでECサイトのように、誰もが広告枠を購入できるプラットフォーム。ファンが「推し」への愛を形にするだけでなく、ファン、事務所、媒体社がそれぞれ価値を得る、新しい広告経済圏を構築した。
応援広告は単なる「推し活」の延長線上にあるものではなく、広告ビジネスの構造そのものを変えようとしている。河原氏は、現場の違和感から生まれたこの仕組みを事業化するため、様々な困難を乗り越えてきた。
韓国で生まれた「センイル広告」文化に着目
河原氏が応援広告に着目したきっかけは、韓国で盛んなセンイル広告(アイドルの誕生日を祝う広告)の存在だった。自称「K-POPオタク」である河原氏によると、ソウルの地下鉄広告の3割をセンイル広告が占めているという。
「この文化は、いずれ日本にも来る」と確信した河原氏は、2020年に社内新規事業コンテストに「応援広告」を提案。しかし、書類審査で落選してしまう。当時、「推し活」という言葉もまだ一般的ではなく、個人が広告を出すという発想自体が理解されなかったのだ。
「売れる自信」が原動力!
営業出身の河原氏は、海外で広がっていた応援広告を見て「遅かれ早かれ日本にも来る」と直感。そして何よりも「売れる自信があった」という。企業からファンへ売り先を変えるだけで、広告ビジネスは成立すると考えたのだ。
社内からは「君の趣味につきあっている暇はない」といった厳しい言葉も浴びせられたが、河原氏は諦めなかった。SNS上でファンの熱量を肌で感じていた河原氏は、個人的なTwitterアカウントを通じて「お手伝いできるかもしれません」とDMを送り、社内の関係各所に働きかけ続けた。
河原千紘氏は、ジェイアール東日本企画未来事業推進局CheeringADプロジェクトリーダーとして、今後も応援広告の可能性を広げ、新しい広告経済圏を創り上げていくことが期待される。