生物多様性危機に直面!「自然再興」の動きと私たちにできること
地球温暖化の影響で、生物多様性が急速に失われつつあります。みどりの日に合わせて、現状の深刻さと、自然との共生を取り戻すための「自然再興」の動きについて解説します。
ニホンジカ増加と生態系の変化
全国各地でニホンジカの個体数が増加し、農作物への被害だけでなく、生態系への影響も深刻化しています。滋賀県の伊吹山では、シカによる食害が原因で斜面の保水力が低下し、土砂災害が発生。温暖化による積雪量の減少が、シカの越冬を容易にしたことが背景にあると指摘されています。
また、春の雪解け時期の変化が、受粉を行うハチと植物の開花のタイミングをずらし、種子ができにくくなる問題も明らかになっています。これらの現象は、生物の多様性を揺るがす深刻な兆候と言えるでしょう。
絶滅危惧種の増加と「ネーチャーポジティブ」
ルクセンブルクの国立自然史博物館などの研究グループの推計によると、世界中で約200万種が絶滅の危機に瀕しているとのこと。これは、動植物や昆虫だけでなく、人間の生存基盤をも脅かす重大な変化です。
こうした危機感から、単なる環境保護にとどまらず、自然を積極的に再生させる「ネーチャーポジティブ」という考え方が注目されています。民間団体による保護活動も活発化しており、自然との共生を目指す動きが広がっています。
「30by30」目標と日本の現状
2022年に採択された「生物多様性条約」では、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全するという「30by30」目標が掲げられました。しかし、日本国内の対象地域は、2021年時点で陸の20.5%、海の13.3%にとどまり、目標達成には程遠い状況です。
環境省は、企業や個人が管理する水源の森やビオトープなどを「自然共生サイト」に認定し、「30by30」の対象を増やす方針ですが、現在の総面積は琵琶湖の1.4倍程度と、まだまだ不十分です。
企業に求められる役割と責任
20世紀の経済成長は、自然破壊と引き換えに行われてきました。この流れを反転させるためには、自然破壊の主たる原因だった企業に、その役割と責任を担ってもらうことが不可欠です。
政府は、企業に対し、多様性保全への対応を「リスクではなく機会」と捉え、新たな技術や製品を生み出すきっかけとするよう促しています。環境保全に積極的な企業も増えていますが、情報公開の不十分さや具体性に欠けるといった批判もあります。
企業は、サプライチェーンを通じて世界の自然とつながっています。海外から調達する物品が、現地の自然環境や生態系に負荷をかけていないかどうかを明確にする姿勢が求められます。
私たちにできること
みどりの日を機に、私たち一人ひとりが日々の生活を見つめ直し、自然再興に貢献できる方法を考えてみましょう。例えば、環境に配慮した製品を選ぶ、地元の自然保護活動に参加する、省エネルギーを心がけるなど、小さなことからでも始めることができます。
自然との共生は、私たち自身の未来を守ることにもつながります。持続可能な社会の実現に向けて、共に歩んでいきましょう。