【今週の必読ミステリー】芦沢央『あなたが正しくいられたとき』―人間の心の「歪み」を暴く傑作短編集
なぜ、人は「正しく」あろうとするのか?芦沢央の真骨頂がここに
ミステリーファンから絶大な支持を集める作家・芦沢央(あしざわよう)。待望の新作短編集『あなたが正しくいられたとき』(文藝春秋)が発売されました。本作は、シリーズものではない単発の短編をまとめた作品集ですが、読めば読むほど「作者の内側を覗き見ているような」不思議な感覚に陥る一冊です。
表題作が問いかける「正しさ」の正体
表題作である「あなたが正しくいられたとき」は、ある同窓会での再会から物語が動き出します。消防士として働く主人公・窪田は、かつて恋人から「あなたは正しい人だよね」と言われた過去を持っていました。しかし、ある「未亡人となった元恋人」との再会をきっかけに、彼は事件に巻き込まれていきます。人間の心理の奇妙な動きや動機の謎を鮮やかに描き出す手腕は、まさに芦沢ミステリーの真骨頂。物語のラスト、すべてが明らかになった瞬間の驚きは必読です。
作家としての進化が止まらない!全方位で楽しめる短編集
本書には、将棋をテーマにした「投了図」や、作家の業を描いた「立体パズル」など、2017年から2026年にかけて執筆された珠玉の作品が収められています。単なるミステリーにとどまらず、メタ的な視点や現代社会の闇を鋭く切り取る描写は、デビューから15年目を迎えた芦沢央の「作家としての凄まじい成長」を証明しています。特に、過去の作品と読み比べることで、その筆致がより磨き上げられていることに気づくはずです。
ミステリー初心者にもおすすめの「作家・芦沢央」入門書
「何を読めばいいか迷っている」という方にこそ、本書を手に取ってほしい理由があります。それは、本作が芦沢央という作家の多彩な魅力を凝縮した「最高の入門書」になっているからです。一見バラバラなテーマの短編も、深く読み込めば芦沢央にしか描けない「人間の心の歪み」という共通のテーマが浮かび上がってきます。気になる方は、まずは表題作からチェックしてみてください。芦沢ワールドの深淵にハマること間違いなしですよ。詳細については、