ケラーニが最新アルバム『KEHLANI』で証明した「人間らしさ」の復権。90sR&Bが現代に蘇る
均質化したポップミュージックへの回答、ケラーニが取り戻した「揺らぎ」とは
現代のヒットチャートを席巻するのは、オートチューンで整えられた、誰が聴いても分かりやすいポップスばかり。そんな中、4月24日の自身の誕生日にリリースされたケラーニ(Kehlani)のセルフタイトル・アルバム『KEHLANI』は、あえてその流れに逆らうような「攻め」の姿勢を見せました。本作は、90年代からゼロ年代のR&Bが持つ特有のハーモニーや複雑なコードワークを、現代の感性で鮮やかに蘇らせた傑作です。サブスク時代の効率重視の音楽作りの中で削ぎ落とされてきた「人間臭い揺らぎ」を、彼女はあえて現代に呼び戻したのです。
名匠とレジェンドが集結!全盛期を迎えたケラーニの挑戦
今作を彩るのは、SZAのヒット曲を手掛けたクリス・リディック=タインズを筆頭に、ベイビーフェイスやジャム&ルイスといった伝説的プロデューサーたち。さらにゲストにはブランディー、アッシャー、ミッシー・エリオット、カーディ・Bら、90年代から現代までのR&Bシーンを象徴する豪華な顔ぶれが名を連ねています。「純粋な楽しさ」を追求したというこのアルバムは、BillboardのR&B/Hip-Hopアルバムチャートで1位を獲得。グラミー賞2冠を達成した先行シングル「Folded」が証明したように、割り切れない感情を歌うスロージャムは、多くのリスナーの心に深く突き刺さっています。
波乱の人生こそが音楽の原動力。共感を生むケラーニのストーリー
ケラーニがこれほどまでに支持される理由は、単なる音楽性の高さだけではありません。幼少期の過酷な生い立ちや、セクシャリティ、メンタルヘルスとの葛藤を隠さず、ありのままの自己開示を続けてきた彼女の歩みは、ファンにとってひとつの物語として共有されています。バレエダンサーの夢から挫折、ホームレス同然の生活を経て、今や実業家としても活躍する彼女の人生そのものが、まるでR&Bの歌詞のようにドラマチックです。