「なんでもないシーンこそ怖い」呪いの新たな解釈に震える。話題のホラー映画『遺愛』の裏側に迫る
「親子愛」がねじれた先に待つ恐怖。異色のタッグが描く新作ホラーとは?
現在公開中の映画『遺愛』が、ホラーファンの間で静かな、しかし確かな衝撃を呼んでいます。本作を手掛けるのは、配信ドラマ「フィクショナル」などで注目を集める酒井善三監督と、「イシナガキクエを探しています」や「行方不明展」といった先鋭的なコンテンツを次々と生み出すテレビ東京プロデューサー・大森時生の強力タッグです。物語は、父の死を機に実家へ戻った主人公・佳奈が、母の介護を通して次第に異変に巻き込まれていくというもの。山下リオが体現する、慈愛が狂気に変わっていく様子は、まさに“憑依”そのものです。
「善意の共犯関係」をテーマにした、新しいホラーの作り方
企画の出発点は、親子の間に存在する「愛の歪さ」についての雑談でした。「すくすくと育ってほしい」という純粋な愛情が、時に虐待や悲劇に繋がってしまうという現実に着目した大森プロデューサー。そこに酒井監督が、「自分が加害者になってしまうかもしれない」という恐怖を掛け合わせました。本作は、誰かを救おうとする「善意」が、実は恐ろしい「呪いの共犯関係」を生み出しているのではないか、という切り口で描かれています。論理的なルール設計と、あえてそれを外すようなリズムの崩しが、観る者に強烈な不安を与えます。
「なんでもない日常」が怖い。二度見必至の仕掛けとは?
酒井監督の作品は、極限状態の緊迫感を生み出す演出に定評があります。本作でも、特に狭い空間での撮影において、照明や空気感の作り込みは圧巻の一言。監督自身は「貧乏性なので、間が怖くてつい色々と詰め込んでしまう」と笑いますが、その結果、なんでもないシーンほど不気味という、独特な恐怖体験が完成しました。「1回目は物語を楽しんで、2回目以降に細かな仕掛けを探してほしい」と語る通り、一度観ただけでは気づかない悪ノリとも言える遊び心が随所に隠されています。この夏、論理と直感が狂わされるような没入感を、ぜひ劇場で体感してください。
映画『遺愛』についての詳細は、公式サイトやSNSもチェックしてみてください。