発売中止の衝撃から30年以上…忌野清志郎が『COVERS』で伝えたかった「本当のメッセージ」
時代を超えて響く反戦・反核の叫び
1988年、音楽業界を揺るがす大事件が起きました。伝説的バンドRCサクセションが制作したアルバム『COVERS』が、リリース直前に発売中止となったのです。その理由は、あまりにもストレートで痛烈な「反核」メッセージでした。当時のレコード会社は原子力発電事業を手掛けていた親会社との関係を懸念し、「素晴らしすぎて発売できません」という皮肉な広告と共にリリースを見送りました。しかし、忌野清志郎をはじめとするメンバーの意志は揺らぎませんでした。予定からわずか9日後の終戦記念日、アルバムは別レーベルから無事に世に放たれたのです。
「明日なき世界」に込められた10代の若者の視点
アルバムの1曲目を飾ったのは、バリー・マクガイアの名曲「明日なき世界(EveofDestruction)」です。この曲は、1965年のベトナム戦争開始という緊迫した情勢の中で、当時19歳のP.F.スローンによって書かれました。核戦争の恐怖をリアルに描き出したこの楽曲は、あまりの衝撃的な内容から一部のラジオ局で放送禁止処分を受けたほどです。しかし、その話題性が逆に人々の関心を呼び、全米1位という大ヒットを記録しました。時代を超えて忌野清志郎がこの曲を日本語詞で蘇らせたことで、核の脅威は再び私たちの世代に突きつけられたのです。
現代に生きる私たちが受け取る「バトン」
2021年には、デビュー50周年を記念して『ラプソディーネイキッド・デラックスエディション』が発売されるなど、今なお忌野清志郎の音楽は色褪せることなく愛され続けています。かつて高石ともやがフォーク・ソングとして伝えた平和への願いは、清志郎のパンクな精神によって新たな息吹を吹き込まれました。『COVERS』という作品は、単なるカバーアルバムではありません。「表現の自由」とは何か、そして私たちがどう世界と向き合うべきかを問いかける、魂の記録なのです。今こそ、彼らが命をかけて守り抜いたそのメッセージに、改めて耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
詳細な楽曲情報については、ユニバーサルミュージックの