英国名門PMCの徹底したエンジニアリング:CEOが語るトランスミッションラインの進化
イギリスを代表するスピーカーブランド、PMC。プロの音楽スタジオや放送局で愛用されてきたその技術が、ついにコンシューマー向けオーディオ市場へ本格進出。二代目CEOオリバー・トーマス氏が来日し、PMCのこだわりを熱く語ってくれました。
PMCとは?スタジオから生まれた革新的な音響技術
PMC(ProfessionalMonitorCompany)は、その名の通りプロフェッショナルなスタジオモニターとして世界中で活躍してきました。1994年にピーター・トーマス氏によって設立され、BBCのスタジオ向けに開発されたスピーカー「BB1」をルーツに持ちます。現在も「BB5XBDACTIVE」はBBCスタジオのモニターとして活躍し続けています。
2013年にPMCに入社したオリバー・トーマス氏は、スピーカーエンジニアとして数年経験を積んだ後、エンジニアリング部門の統括を経て、今年CEOに就任。“技術を大切にする”というPMCの理念を継承し、さらなる進化を目指しています。
「着色のない最高の解像度」を追求するPMCの理念
オリバー氏によると、PMCの理念は「全体的なアプローチによる設計で、着色のない最高の解像度を持つオーディオを創造する」こと。スタジオ向けとホーム向けで開発理念は変わらず、すべてのスピーカーにトランスミッションラインという低域増幅方式を採用しています。
また、研究開発にも積極的に投資しており、7年前にはR&Dチームと製品開発チームを分離することで、基礎研究に集中できる環境を整えました。その結果、数々の革新的な技術が生まれています。
映画の世界も支えるPMCの技術力
PMCのスピーカーは、『タイタニック』、『007スカイフォール』、『ゲーム・オブ・スローンズ』など、数々の大ヒット映画の制作にも貢献。近年では、ドルビーアトモススタジオにも力を入れており、アメリカのキャピトルスタジオや日本のユニバーサルミュージックのミックススタジオにも導入されています。
最新スピーカー「Prophecy」に搭載された新技術
今回の説明会では、PMCの最新スピーカー「Prophecy」に搭載された最新テクノロジー「アドバンスト・トランスミッションライン」(ATL)と「LaminairX」、そして中高域に設けられたウェーブガイドについて詳しく解説されました。
アドバンスト・トランスミッションライン(ATL)
トランスミッションラインは、スピーカーの低音を増幅する方式の一つ。Prophecyに搭載されたATLは、管の中に5種類の特殊な化学素材を配置することで、不要なサウンドを吸収し、クリアでパワフルな低域を実現しています。コンピューターシミュレーションと聴感テストを繰り返し、スムーズなレスポンスを実現しました。
LaminairX
LaminairXは、既存のLaminair技術を進化させたもので、トランスミッションラインの出口となるポート部分の“乱流”をコントロールします。U字型に窪んだ縦長の小部屋と、ポートの長さやフィンの数を最適化することで、空気の流れの乱れを示す「レイノルズ数」を下げ、ポートノイズを低減し、低域増幅の効率を高めています。この設計には、F1開発で培ったオリバー氏の知見も活かされています。
ウェーブガイド
ウェーブガイドは、トゥイーターとミッドレンジにそれぞれ専用に設計されており、無響室での計測を繰り返し、広い指向性とエネルギーの拡散性を両立する形状を追求しました。
今後のPMCの展開
現在、国内向けには「Prodigy」と「Prophecy」の2つのシリーズが輸入されていますが、今後はトップグレードの「fenestria」、クラシカルなデザインの「SEシリーズ」、アクティブスピーカーの「twenty5」なども日本市場に導入される可能性があります。オリバー氏は「アクティブスピーカーも大好き」と語り、HiFi市場におけるアクティブスピーカーの可能性に期待を寄せています。
BBCモニター由来の伝統技術と、コンピューターシミュレーションや自動車業界の知見を融合させたPMCのスピーカーは、すべてイギリスで生産され、徹底した品質管理のもとで仕上げられています。“エンジニアリングを追求することで、より優れた音質を追求できる”というオリバー氏の信念が、PMCのスピーカーを世界中の音楽ファンやプロフェッショナルから信頼される理由なのです。
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