世界シェア2位の卵の総合ソリューション企業「ナベル」が描く、売上高1000億円の未来
「スモール・ジャイアンツアワード2026」グランプリを受賞した京都市の産業装置メーカー、ナベル。鶏卵の選別やパッキングなど、卵の生産工程におけるあらゆるソリューションを提供し、世界シェア2位を誇るその躍進の背景には、独自のビジネスモデルと、「文化の製造業」とも言えるこだわりがありました。経営学者・入山章栄氏が、ナベル副社長の南部隆彦氏にその核心に迫ります。
30年以上続く海外展開、そしてアメリカ市場への挑戦
ナベルの海外展開は1992年にマレーシアへの選別包装装置の輸出から始まりました。その後、台湾、東南アジア諸国へと広がり、現在では80カ国に輸出しています。近年では、アメリカ市場への参入にも成功。南部隆彦副社長は、最新鋭の選別装置の納品にスパナを手に自ら立ち会ったことを明かします。
納品先のオーナーからは、「今後3年間で20台買いたい」という驚きの言葉を引き出し、全米シェア2位の巨大養鶏場グループとの取引を開始しました。この会社はグループ全体で4500万羽のニワトリを飼育し、1日4000万個もの卵を生産していると見られています。
驚異的な選別能力、そして「飛行機も作れるんじゃないか?」という開発陣の言葉
ナベルの最新鋭選別装置は、なんと1時間に24万個の卵を選別可能です。ベーシックな装置でも1時間3万個を選別でき、最大規模のものは全長50mにも及びます。開発陣からは「俺らも飛行機作れるんじゃないか?」という冗談めいた言葉も飛び出したほどです。
卵の生産は、単なる食品製造業ではなく、巨大装置産業であることをナベルは体現しています。ナベルの技術力と、顧客の生産性を最大化するビジネスモデルは、今後の卵産業に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
垂直統合が進むアメリカ市場への戦略
入山章栄氏は、アメリカ市場が養鶏場から選別、パッキング、小売りに至るまで垂直統合されている点を指摘します。ナベルは、その牙城に挑むことになります。しかし、今回の大型契約獲得により、アメリカ市場への足がかりを築き、さらなる成長を目指すこととなりました。
ナベルは、これからも革新的な技術と、顧客に寄り添う姿勢で、卵産業の未来を切り開いていくでしょう。そして、その売上高は1000億円を超える未来も夢ではありません。