「地力問われた1年」から「グローバル足掛かりの1年」へ-ジャフコ長島昭氏が語る2026年のスタートアップシーン展望
ForbesJAPAN2026年版「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で2位に輝いたジャフコグループの長島昭氏。2015年の入社以来、シード・アーリーステージの投資に特化し、dely(現クラシル)やミラティブといった企業の急成長を支えてきました。4月1日からは同社のチーフキャピタリストに就任。4月16日に開催される「RISINGSTARAWARD2026」の審査員も務める長島氏に、2026年のスタートアップシーンについて展望を伺いました。
2025年のスタートアップ環境:企業「地力」が試された一年
2025年のスタートアップを取り巻く環境について、長島氏は資金調達総額はほぼ横ばいだったものの、その内実は大きく変化したと指摘します。特にAI分野では資金が集まりやすく、大型の資金調達も実現。しかし、「資金調達環境が良い」と一概には言えず、事業の成長と将来性が期待できる分野に資本が集まる仕組みが機能していると分析します。つまり、スタートアップ各社の「地力」が問われた一年だったと言えるでしょう。
AI分野においては、実際にユーザーに利用されるプロダクトを生み出し、業績を伸ばしている企業が増加しており、市場全体と個別企業ともに成長を遂げています。「バブル」とも言われる状況ですが、ポジティブな変化が起きていることは間違いありません。
IPO以外の選択肢が拡大:スタートアップの資本戦略は多様化
成長戦略として、これまで主流だったIPO(新規株式公開)以外にも、様々な選択肢が広がっています。投資先企業の意識にも変化が見られるとのことです。
その背景には、SmartHRにおけるGeneralAtlanticへの約150億円規模のセカンダリー取引という、日本のスタートアップ史上最大級の事例があります。また、上場企業であるラクスルがMBO(経営陣による買収)で非公開化するなど、成長フェーズに合わせて資本構造を組み替える動きも活発化しています。
これらの事例から、「上場だけがゴールではない。自分たちに合った資本戦略を描けるのではないか」という議論が生まれつつあります。具体的には、
- M&A:事業会社の傘下に入り、顧客基盤や営業網を活用して成長を加速させる
- 銀行融資などエクイティ以外の資金調達手段の活用
といった選択肢が考えられます。事業特性や成長フェーズに合わせて柔軟に資本戦略を設計する動きが加速していると言えるでしょう。