ALSと診断された母が残す「母の味」レシピ本『もしもキッチンに立てたなら』に込めた想い
2児の母・はらだまさこさん(40代)が、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された。病魔と闘いながらも、子どもたちに残したい「母の味」と「美味しい記憶」を胸に、レシピ本『もしもキッチンに立てたなら』を制作。指が動かなくなっても、関節や音声入力を使ってスマホにレシピを書き続けたまさこさんの想いを追いました。
ALSと診断されたきっかけと、レシピ本制作への想い
福岡県で喫茶店「SoundsFoodSoundsGood」を営むまさこさんは、2023年6月にALSと診断されました。ALSは、全身の筋肉が徐々に衰えていく難病で、まさこさんも肩から下をほとんど動かせなくなり、日常生活に困難を抱えています。以前はアクティブに活動していたまさこさんですが、病状が悪化するにつれて、外に出る機会も減っていきました。
そんな中、「母親として、私は何ができるのだろう」「子どもたちに、何を残せるのだろう」と考えたとき、「レシピ本を残したい」という強い想いが湧き上がったそうです。食べることも、料理することも大好きだったまさこさんは、自身のルーツである「祖母の味」や、喫茶店で提供している人気メニューのレシピを、子どもたちに残したいと願いました。
喫茶店「SoundsFoodSoundsGood」への情熱と看板メニュー
まさこさんは、2018年にご夫婦で喫茶店「SoundsFoodSoundsGood」をオープン。コンセプトは「美味しいと感じるもの、安全だと信じられるものを提供する」こと。子どもの頃から慣れ親しんだフライドポテトや、友人のレシピを元にしたチーズケーキなど、思い出の味をメニューに取り入れました。
中でも「鉄板ナポリタン」は、お店の看板メニューとして大人気。地元・愛知県豊橋市では定番の料理ですが、「SoundsFoodSoundsGood」では、ベーコンを使用したり、手作りのトマトソースを使用するなど、独自の工夫を凝らしています。太い麺を寝かせることで、もっちりとした食感を実現し、2種類のチーズをたっぷりとかけた、こだわりの一品です。
レシピ本を通して伝えたい、家族への願い
レシピ本『もしもキッチンに立てたなら』には、まさこさんの愛情と、家族への深い想いが込められています。病と闘いながらも、レシピを書き続けることで、子どもたちに「美味しい記憶」と「母の味」を伝えたい。そして、このレシピ本が、子どもたちが将来、自分の手で料理を作る際の「道しるべ」となることを願っています。
レシピ本を通して、まさこさんは、家族との温かい食卓の風景を、未来へと繋いでいきたいと考えています。