谷口悟朗監督×吉田玲子脚本家が語る『パリに咲くエトワール』の魅力!多様性へのメッセージとアニメの未来
現在公開中の劇場アニメ『パリに咲くエトワール』。第一次世界大戦前夜のパリを舞台に、なぎなたとバレエという異色の組み合わせで、二人の少女の夢と葛藤を描いた本作。『コードギアス反逆のルルーシュ』や『ONEPIECEFILMRED』を手がけた谷口悟朗監督と、『映画聲の形』や『リズと青い鳥』で繊細な心理描写を紡いできた脚本家・吉田玲子が、その制作秘話を語りました。
脚本の奥深さ:セリフの裏に隠された情報
谷口監督は、吉田脚本家の脚本について「セリフとト書きの間に情報がある」と語ります。フジコの叔父・若林の日本料理レストランやギャラリーなど、細部にまでこだわり抜かれた設定には、単なる「日本文化」だけでなく、ヨーロッパで認識された「アジア」的な要素が反映されています。若林が海外を旅していた経験から、より洗練された「ヨーロッパでいうところの日本」という認識がデザインに活かされているのです。
吉田脚本家も、自身の脚本が映像化される上で、表情や動きなど、セリフにない部分まで丁寧に描かれている点を強調。観客がキャラクターの感情に深く共感できるポイントになっていると語っています。
なぎなたとバレエの意外な組み合わせ
本作のもう一つの特徴は、なぎなたとバレエという一見意外な組み合わせです。谷口監督は、バレエという華やかな題材を選ぶことで、アルセーヌ・ルパン的な方向へ進んでしまう可能性を危惧し、吉田脚本家から提案されたバレエを導入したことで、新たな華やかさを表現できたと話します。
1年半から2年にも及ぶ徹底的な時代考証も、本作のリアリティを高める重要な要素です。なぎなた道場を見学するなどの取材を踏まえ、戦争の始まるタイミングといった時系列も調整しながら、大戦期のパリで自給自足で生活する日本人の少女という設定にリアリティを持たせています。
細部に宿るリアリティ:生活感あふれる描写
フジコが皿洗いをするシーンなど、さりげないカットの中に、当時の生活様式が自然と表現されています。白土晴一さんの設定考証も相まって、フジコたちの生活感が映像を通して伝わってきます。
谷口監督は、ストーリーの柱を吉田脚本家が構築し、自身は映像でその世界観を装飾するという役割分担だったと語ります。セリフやシチュエーションには出てこないディテールを拾い上げることで、作品に深みを与えているのです。
『パリに咲くエトワール』は、多様性をテーマに、時代と文化を超えた少女たちの夢と葛藤を描いた、オリジナルアニメーションの新たな可能性を示す作品と言えるでしょう。