最高裁長官「AIは猛獣」裁判への利用は否定、しかし事務作業への活用は検討へ
憲法記念日を前に、最高裁の今崎幸彦長官が記者会見を開き、話題の生成AI(人工知能)の裁判への活用について、「裁判官の判断に用いることは考えられない」と明言しました。一方で、事務作業の補助としての活用は視野に入れつつ、「AIは『猛獣』であり、使いこなす力量が求められる」と警鐘を鳴らしました。
AI活用の現状と課題
最高裁は今年1月から、民事裁判の証拠整理などの業務で生成AIを補助的に活用できるかの分析を進めています。しかし、今崎長官は現状について「(裁判で)そのまま使えるものではないと聞いている」と述べ、倫理的な問題や、AIが誤った回答をする「ハルシネーション(幻覚)」、個人情報漏えいといったリスクを指摘しました。これらの課題を踏まえ、慎重に検討を進めていく考えを示しています。
再審無罪判決について
有罪確定後に再審で無罪となるケースが相次いでいることについて、長崎長官は「裁判手続きの結果そうなったことは非常に残念に思う」と述べました。しかし、個々の裁判の検証については「考えていない」と明言しました。
憲法公布80年と裁判のデジタル化
今年11月には憲法の公布から80年の節目を迎えます。今崎長官は「社会や経済の構造は劇的に変化した。訴訟のあり方を時代の要請に応じて合理的、効率的に刷新していくことが求められる」と指摘し、5月21日に全面実施される民事裁判のデジタル化を着実に進める重要性を強調しました。デジタル化によって、より迅速かつ効率的な裁判手続きの実現が期待されます。
AI技術の進化は目覚ましいですが、裁判という人々の人生を左右する重要な手続きにおいては、慎重な検討が不可欠です。最高裁の今後の動向に注目が集まります。