スペイン裁判所、エホバの証人を「破壊的なセクト」と批判しても名誉毀損には当たらないと判断
スペインの裁判所が、宗教団体「エホバの証人」を批判する人々が同団体を「破壊的なセクト」と表現しても、名誉毀損訴訟を起こされるリスクはないとの判断を下しました。これは、表現の自由を根拠としたもので、大きな注目を集めています。
エホバの証人への批判と訴訟の背景
戸別訪問による伝道活動で知られるエホバの証人は、これまでも自団体を批判する人々に対し、度々訴訟を起こしてきました。しかし、今回の判決は、そうしたエホバの証人側の主張を退けるものとなりました。
2023年には、スペイン・エホバの証人被害者協会(AEVTJ)によるエホバの証人への公然の批判は、名誉や評判に対する権利を不当に侵害するものではないとの判決が出ていました。今回の判決はその流れを受け、さらに踏み込んだ判断を示しています。
「破壊的なセクト」という表現は表現の自由の範囲内
裁判所は、エホバの証人を「破壊的なセクト」と表現することは、たとえエホバの証人にとって不快な表現であっても、スペイン法で保護される表現の自由の範囲内だと明言しました。さらに、エホバの証人に所属することが「健康を害し、人々の生命を危険にさらし、犠牲者を生み出す」という主張も、表現の自由の範囲内だと判断しています。
AEVTJ側の反応と今後の展望
この訴訟は、スペインのエホバの証人信者6人が、AEVTJの名称に「被害者」という言葉が使われていることが名誉毀損に当たるとして、AEVTJの解散を求めて起こしたものでした。しかし、今回の判決により、AEVTJ側の主張が認められました。
AEVTJの代理人弁護士は、今回の判決を「前例のないもの」だとし、「正式に宗教として登録されている宗教であっても、『破壊的なセクト』と表現できるとされたのは、この国では初めてのことだ」と語っています。AEVTJの会長も、「私たちの声と自らを被害者と定義する権利が認められた」と喜びを表明しています。
この判決はまだ確定しておらず、スペイン最高裁判所に上告される可能性もあります。今後の展開が注目されます。
エホバの証人とは?
1870年にアメリカで創設されたエホバの証人は、世界中に約900万人の信者がいると主張しています。非暴力を説き、血液は神聖なものであると信じ、輸血に反対していることでも知られています。過去には、病気の子供への輸血を拒否する親の事例が数多く報道されており、社会的な問題となっています。
また、エホバの証人は千年王国思想に基づいており、信者たちは世界の終末にイエス・キリストが再臨し、地上を1000年間支配すると信じています。一方で、棄教が困難であるという批判もあり、元信者の中には、精神的な圧力や疎外感を経験したと証言する人もいます。