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「お父さん、警察官が取り締まられるようなことをしたら終わっとるよね」…娘の一言がきっかけ、元警官が告発した“カラ出張”の真相

投稿日:2026年03月02日

4年前の冬、広島県警に勤務していた粟根康智さん(46)は、小学6年生の長女から突き放されるような一言を浴びせられました。それは、粟根さんが抱えていた不正に対する自責の念を、さらに深くえぐるものでした。

“天職”だった警察官の仕事、そして闇

幼い頃から警察官に憧れていた粟根さんは、就職氷河期を乗り越え、27歳で広島県警に採用されました。警備課に配属され、要人警護やテロ対策、災害救助など、危険と隣り合わせの任務に就きました。特に、公安警察の一員として秘匿捜査に携わっていた時期は、夜通し張り込むことも珍しくなく、やりがいを感じていたといいます。

優秀な成績を収め、県警本部から表彰も複数回受けていた粟根さんの運命は、上司となったA警部の下で働くようになってから暗転します。

上司からの指示で“カラ出張”…不正の連鎖

A警部の指示のもと、粟根さんは2019年から20年にかけて6回の“カラ出張”を繰り返しました。これは、公務で出張したと偽り、旅費時間外勤務手当を不正に受給する行為です。約5万5000円を受け取ったものの、罪悪感ストレスは日増しに増していきました。

心身の不調から心療内科を受診し、適応障害と診断。休職を余儀なくされました。さらに、交通事故にも遭い、重傷を負い、後遺症が残りました。復職も考えましたが、以前のように働くことは難しいと判断しました。

娘の一言が背中を押した、辞職と告発

そんな中、長女から「お父さん、警察官が取り締まられるようなことをしたら終わっとるよね」という言葉をかけられます。不正と向き合い、警察官として正しい道を歩むことの重要性を訴える娘の言葉に、粟根さんは心を揺さぶられました。

うちら貧乏になってもええけ、警察官としてちゃんとして

長女の言葉を勇気に変え、粟根さんは辞職と同時に公益通報することを決意します。しかし、内部告発は容易ではありませんでした。秘匿性の高い作業班での経験から、同じ警察官にも詳しく話すことができず、監察部門への連絡もなかなか繋がりませんでした。

退職2分前に送った告発メール、そしてその後の展開

2022年3月31日、休職中のまま警察官としての最後の日を迎えた粟根さんは、証拠を残すため、就業終了時刻の2分前に県警の公益通報窓口カラ出張を告発するメールを送りました。

県警の調査は遅々として進みませんでしたが、最終的にA警部らが詐欺虚偽公文書作成・同行使の疑いで書類送検されました。A警部は依願退職し、不起訴処分となりました。

告発から新たな一歩へ、福山市議選への挑戦

退職後、粟根さんは2024年の福山市議選立候補しました。選挙のチラシには「元警察官内部告発者」と明記し、「こどもを核にしたまちづくりの実行」を掲げました。市議になること自体は目的ではなく、街頭宣伝を通じて、古巣の警察官らに不正目をつぶるな声を上げろと訴えるためでした。

上の人間が不正をしてお前らが黙っていて、誰が得をするのか。お前らがちゃんとせんと、市民は誰を信じればいいのか

現在は定職に就かず、妻の稼ぎや投資で娘2人を育てています。長女たちは「昔のように外食や旅行ができなくなった。でも後悔していないよ」と言ってくれるそうです。普段は、小学生から高校生までの子ども約50人にボランティアで勉強を教えています。困っている人を助けたいという思いは、警察官を辞めても変わらないと語ります。

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